伯爵令嬢になった世界では大切な人に囲まれ毎日が輝く
フレッドが爵位を継ぐと決めて数ヶ月の間、フレッドとお父様は入学試験や手続きなどに追われて忙しそうに日々を過ごしていた。
そして今日でアンリがこの世界に来て一年。
初めは分からない事だらけだったし、正直今でも分からない事がたくさんある。だけどこの世界に来る前の暗璃と違って、今のアンリの側にはアンリを大切にしてくれる家族や大切に思ってくれる友達、支えてくれる人がたくさん居る。
そんなアンリも今日からついに二年生だ。
馬車が学園に到着すると、ストライプ柄のネイビーのネクタイを巻き、黒色のブレザーを羽織ったフレッドは一足先に馬車を降りると手を差し出す。
「行こう、アンリ」
「うん!」
アンリはその手を掴むと馬車から降りた。
今日から一人で学園の門をくぐる事は無くなる。隣には爵位を継ぎ、お嬢様と執事という主従関係が無くなり一人のかけがえのない友人となったフレッドが居て、教室に向かえばミンスが、クラブに行けばクイニーやザックとも会える。
これからどんな事が待ち受けているのか全く想像のつかない未来でも、そんな彼らが居てくれればどんな事だって乗り越えていける、今はそんな気がするのだ。




