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TEARS STONE  作者: 流れ星
第一章 風の少年
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第四話  盗賊

家のドアに手をかける、中からは声は聞こえない・・・・


まだ寝てるのかもしれない・・・


そおーっとドアを押す。

中はいつもと変わりなかった。


母さんに会いたくはないな、リューンにも・・・


階段を上がって二階の俺の部屋のドアを開けた。

いつも見慣れてるはずなのに、なんだか他人の部屋のような感じがした。


父さんからもらった短剣・・・


母さんに見つからないように、ベッドの下に隠しておいた薄茶色の箱を取り出す。

息を深く吸った。


父さん・・・・


開くとあの8才の誕生日に見た時と変わらず、永遠の輝きがそこにはあった。

その短剣を腰にかけた。


まずは、時間つぶしに古文書図書館でも行くか・・・


ソールは図書館が好きだった。

図書館といってもただ本が置いてあるだけだった。

もっと都会に行けば一生のうちに読み切れないほどの本があるのだろうけど、今は絶対に無理だった。

特に現代のものがある図書館より古文書図書館の方が数倍も好きだった。

家の二階の窓から飛び降りた。

修行していたソールには容易(たやす)いことだった。

きっとリューンには出来ないだろう・・・・


図書館の中にはたくさんの古文字が顔を覗かせていた。

ソールは久しぶりにウキウキしていた。

図書館に来るのは5年ぶりくらいだったからだ。

「結構たくさんあるなぁ・・・」

本棚を眺めていると、足元に落ちていた本につまずいた。

「・・・っ痛!」

顔をしかめながら本を持ち上げると、題名は[女神ルーリアの伝説・涙の石(ティアストーン)]と書いてあった。

「女神・・・ルーリア・・・?」

「おぉ、君もルーリアを信じているんじゃろう?」

視線を上げると、おじいさんが俺の目の前に居た。

「女神ルーリア?この伝説はどんな話ですか?」

「君はこの伝説を知らないのかい?それなら読んでみた方がいい」

「そうですか・・・ありがとうございます」


近くの椅子に座って本を広げる。


女神ルーリアの作った石、涙の石(ティアストーン)・・・・

それによって起こった争い・・・・

そして出来たティア・・・・

こんな伝説聞いたこともなかった・・・母さんは知ってたのか?

ティアを託された種族は・・・

風の民・風雲(フロール)一族

水の民・人魚(マーメイド)一族

火の民・火の鳥(フェニックス)一族

土の民・土人(マッディー)一族

光の民・月日(ムーンライト)一族・・・

まぁ、俺はこのアルファード大陸で一番多い種族・太陽(アロー)一族だから、ティアを持つなんてありえないし、俺には関係もない話だな・・・・


そんなことを思いながら、図書館を出ると何かもめている声が聞こえてきた。

大きな男が二人、誰かに金を出せと脅しているようだった。


・・・・なんだ盗賊か



・・・・・ん?あの後ろ姿は・・・・


嫌な予感がして回り込んで見てみると・・・・


「リューン!!」

「・・・!兄ちゃん!!」

リューンは盗賊に襲われていた。

「んだぁ・・・?チビ!お前の兄貴かぁ?」

「・・・・」

リューンは泣くまいと歯を食いしばっていた。

「なぁに黙ってんだよ・・・おいッ!!」

その男はリューンを蹴飛ばした。

俺は飛んできたリューンを捕まえた。

「弟が何かしましたか?」

「おぅ、兄ちゃんはどこかって聞かれたからよ、教えてやるから金出せって言ったんだよ」

もう一人が続けて話す。

「そしたらこのオチビさんが逃げたんで、捕まえたんだよ」

俺はリューンを睨んだ。

だが睨んだところでこの事態を切り抜けることは出来ない。




仕方がない助かるかわからないが、逃げるしかないか・・・・



ソールは盗賊にお辞儀をするとパッと駈け出して森の方へ逃げて行った。

「んぁっ!!この野郎ッ・・・・!」

「追いかけるぞッ!!」

盗賊もすぐ追いかけてきた。

やはり相手は大人、足には自信があるソールだが大人にはかなわなかった。

木をジグザグに進んで、敵の目を(くら)ませた。



リューンを背負ったままじゃあ、戦えないし邪魔だ・・・・

どこかに・・・・


枝が特別高めの木を選んでリューンをそこに乗っけた。

「兄ちゃんが帰ってくるまでそこで待ってろッ!」

リューンは涙目で叫んだ。

「兄ちゃーーんっ・・・・・・・・・」

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