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TEARS STONE  作者: 流れ星
第一章 風の少年
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第一章・番外編 風と共に生きるもの竜と共に生きるもの

今日は晴れている。

清清しくてこんなときは空を飛んでみたいと思ったりする。

俺は草原を歩いていた。

行く当てもなく、ただただ歩いていた。

風に身を預けて・・・


何も音がない静寂を破ったのは(ドラゴン)の鳴き声らしきものだった。

俺はとっさに自分の胸を見た。


俺がこれを吹いていないなら、何が・・・・


そして空を見上げた。


・・・・・・・・・!!


すっきりした青空に似た色をした(ドラゴン)が頭上を飛んでいた。


「あれは・・・・(ドラゴン)!!」


(ドラゴン)は丸い藍色の目でこちらをずっと見ていた。

すると背中からひょこっと何かが顔を出した。


・・・・・?あれは・・・・人間?


(ドラゴン)の上に乗っていた人間が驚いた顔をした。

「え・・・?あぁっ!!見られちゃったっ!!!どうしよ・・・」

(ドラゴン)の上で戸惑う人・・・・よく見ると女の子だった。

その女の子は手をなにやら動かすと、何かをしゃべってきた。


「シバーリ!!」


女の子が言った言葉を聴くと、体が動かなくなった。



なっ・・・なんだこれッ!!


女の子は(ドラゴン)に何かを言うと(ドラゴン)はゆっくりと降下してきた。


えぇ!!俺食われる・・・・?


「ごめんなさいね、これもあたしとアロルのためと思ってね・・・」

「ちょ・・ちょっと待ってくれよっ!」

「アロルっ!ガブッといっちゃって♪」

「うわぁぁっ!!」

歯を食いしばり、目をギュッと瞑っていると、ふわっと体が風に乗ったのを感じた。

なにやらわき腹やお腹の辺りが生暖かい・・・

目を開けるとそこは空の上だった。

俺はこの(ドラゴン)に咥えられて空を飛んでいるのだった。


どっ・・・どうなってんだぁ!!



(ドラゴン)がゆっくり降下して、地面に下ろされた。

すると女の子がすばやく降りてきてまた何かをしゃべった。

「解っ!」

体が自由になった。

女の子は俺にこう言った。

「ごめんなさい・・・いきなり、だけど理由はちゃんと説明するから!」

彼女は洞窟に案内してくれた。

彼女はここで(ドラゴン)と一緒に暮らしているらしい・・・

「あたしがこの子と出会ったのは二年前になるかな・・・そのころあたしは魔導師になるためにこの近くにある魔導師学校に通っていたの」

「魔導師学校?」

「魔法を勉強したり、自分の才能を伸ばしたりできる学校なの」

「へぇ・・・」

「そこで授業がつまらなくて学校を抜け出してた時にここで傷ついた(ドラゴン)と出会ったの」

「それが・・・」

「このアロルよ、あの時はもう少し小さかったんだけどね」

「だけど、なぜ(ドラゴン)のことを隠すんだい?」

「そっ・・・それは、みんなは(ドラゴン)を悪い生き物って見てるから」

「悪い生き物・・・?」

「学校に入ってすぐ習ったのが(ドラゴン)のことだった、こんなにかわいくて愛らしいのにみんなは暴れたりすると思ってる・・・それが嫌なの」

「そっか・・・」

「だからあなたにもこのことは他の人に言ってほしくないの・・・ダメかしら?」

「それは別にいいけど、一つ聞いていいかな?」

「何?」

「どうしてその(ドラゴン)と共に生きようとするの?そいつと居たら危ない目に遭うことだって少なくないんだし・・・」

「あたしは怪我してたこの子と見てた時からこの子と共に行きようって決めたの、誰がなんと言ったってあたしはこの子と一緒に居るんだから!!」

ソールは心の中で笑った。


この子は芯の強い子なんだな・・・と思った。


「あのさ(ドラゴン)のこと黙ってるから条件つけてもいいかな?」

「何?」


彼女はゴクリと唾を飲んだ。


「俺に魔法を少し教えてほしいんだ」

 

「へっ?そんなこと?全然オッケーよ」

彼女は笑った。

「あたしの名前はフローラ、風雲(フロール)一族なの」

「俺はソール、風雲(フロール)太陽(アロー)の混血だ」

「へぇ~あなた風雲(フロール)の血入ってるんだ」

「そうらしいんだよ」

「そういえば、勘違いされると困るから言っとくけど、あたしはティアなんかもってないからね」

「そうだろうな・・・」

俺はくすくす笑った。

「ちょっと!今のどういうことよっ!!」

「それは俺がティアを持ってるから」

「!!」

フローラは驚いていた。



そしてもう、フローラと会ってから一ヶ月が経っていた。

とてもはやく感じた時間だった。

俺はさまざまな魔法を教えてもらった。

風の三段階魔法の二段階まで使えるようになったし、少しなら回復の魔法も教えてもらった。

そしてこれはある夕時の話・・・


「ソール、今日学校で聞いた話なんだけど、ここから南に行ってハマ山脈を越えたところで急に水が止まってしまったんだって」

「水が・・・?」

「うん、他にもたくさんの地域で水が止まってるんだって、ソールこれから行く当てないんだよね?」

「あぁ・・・」

「それじゃあ、他にティアを持ってる人探して見たらいいんじゃない??」

「どうして?」

「ほら、ルーリアの伝説でも各地で異状が起こったからそれぞれの長が集まったんでしょ?」

「うん」

「それなら、ソールはその原因を調べないといけないんじゃない?それにここから昔人魚(マーメイド)一族が栄えた町に近いから、アロルと送ってってあげるよ?」


・・・・俺はフローラにすごく世話になってしまった。


それなら、行って見るべきかもしれない・・・



「わかったよ、一週間後に発とうかな・・・」


そして俺の新しい目的の出来た旅の始まりの日になった。

アロルの背に俺とフローラは乗ってハマ山脈を越えたふもとに下ろしてもらった。

「ここからもう少し行くと、リリーって町があるからそこにまず行ってみなよ」

「そうか・・・今までいろいろ教えてくれてありがとな」

フローラは少し泣きそうな顔をした。

その面影がリューンに似ていて懐かしかった。

「後もう一個だけ・・・・その笛」

「これか・・・?」

「それは古代から(ドラゴン)と話とするために作られた笛なの、あたしは偶然それを持ってたからアロルと話が出来たの、今はもうなくても話ができるけど・・・」

「そうなんだ・・・」

「だからもし(ドラゴン)に会ったら吹いてみてね」

「あぁ、わかった」

俺はフローラに頭を下げて、クルリと前と向いて歩き出した。

途中で思い出してフローラに言った。


「俺ッ・・・今まで同じ年頃の人と話したことなかったから・・・・スッゲー楽しかったぁッ!!」


フローラの顔は見なかったけど、きっと泣いてるんだろうなって思った。


俺の一人の旅がまた始まった。


俺はアロルの翼の色のような青空の下を歩いてった。

本当に、本当に清清しい青空だった。

これで第一章 風の少年 は終わりです。

次から第二章に入ります。

感想などもらうととっても嬉しいので、是非感想をお願いします!

それでは応援よろしくお願いします★ミ

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