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4そうと決まれば…


 私はそのまま部屋に戻ると出て行く計画を考え始めるがとにかくお金が必要だと気づく。

 そしていいことを思いつく。

 (そうよ!婚約解消はアルフォン殿下の有責なんだから、慰謝料がもらえるはずよ。父は国王に呼び出されたと言っていた。それならば国王の前で慰謝料を請求しよう。だって私はやることはきちんとやって来た。もちろん自分に非はない。完璧に…)


 しばらくするとリルが慌てて部屋にやって来た。

 「お嬢様。旦那様が急いで支度をしろとおっしゃっています。あっ、そのお顔は?…また殴られたのですか?」

 リルは私の頬が赤くはれている事にすぐに気づいた。

 そうだ。この際父の暴力の事もはっきり国王に言ってやろう。こうなったらすべてを暴露してすっきりして出て行こう)

 私はそう決めるとリルに言った。

 「リルこのままでいいから支度をして」

 「ですがお嬢様、そのようなお顔で王宮に上がれば何を言われるか。旦那様がお許しになるはずがありません」

 「そうね…そうだ。私は先に王宮に行くわ。先にルドルフを呼んで」

 「ですがお嬢様。そんな事をすれば帰ってからどんなことになるか…」

 「ここには帰らないわ。しばらくメアリーの所でお世話になるつもりだから」

 

 ルドルフを呼んで馬で行くから同行をするように頼む。途中でメアリーの所によってしばらく世話になりたいと頼んでおくつもりだ。

 「お嬢様…その顔は?」

 「ああ、いいの。気にしないで」

 「ずっと気づいておりました。旦那様がお嬢様にひどいことをされていると…私はあなたをお守りするのが役目なのに…申し訳ございません」

 ルドルフは酷く落ち込んでそう言った。

 彼の指が私の赤くなった頬に触れるか触れないかの距離で行ったり来たりしている。

 こんな狼狽えるルドルフは初めてだ。

 「ルドルフありがとう。でも、いいの。私決心したの。ここを出て行こうって。だから協力してほしいの」

 「わかりました。私にお任せください。どんな事があってもお嬢様をお守りします」

 ルドルフは拳で胸をどんと叩いた。

 こんな頼もしいルドルフを見たのは初めてだった。

 私にとってもルドルフを呼ぶのは賭けだった。もしルドルフが父に告げれば…でも、そうではなかった。

 私はとても緊張していたらしく、やっと大きく息をした。

 「ではすぐにお支度を、荷物は整えてフィアグリット公爵家にお届けするようにします」リルが言った。

 「ええ、リルお願い。ルドルフは馬を用意して」

 「お任せください」

 ルドルフは部屋を出て行った。


 私はリルに乗馬用の服を準備してもらいそれを着込んだ。

 「お嬢様いいんでしょうか?王宮に行かれるんですよ?国王にお会いになるのにそのようなお姿では…」

 「いいのよ。私この家を出るのよ。もう貴族でもなくなるかもしれないのよ。リル、こんな姿だからと言って王に不敬をする訳ではないのよ。きっとわかって下さるわ。ううん、アルフォン殿下にそれくらいは許してもらうようにするから心配しないで」

 「あの…お嬢様、もし良ければ私も一緒に連れて行ってもらえませんか?ここに残っても旦那様のお世話をする者はいますし、私はお嬢様のそばを離れたくないんです」

 「リル…気持ちはうれしいけど私はあなたを雇うことは出来ないのよ。ここにいるのが嫌なら辞めればいいわ。リルならいくらでも仕事があるはずよ」

 「あっ、では、私の仕事が決まったら一緒に住みませんか?お嬢様だっていつまでもメアリー様の所にいるわけにもいかないですよね?もし良ければですが…」

 「ええ、でもまだそこまでは考えられないの。ごめんなさいリル。だけどこれからは一緒に食事したり買い物にだって行けるわ。とにかく今は国王に会うことが最優先よ。父にはうまく言っておいてくれる?」

 「もちろんです。先にルドルフと共に王宮に向かわれたと伝えます。さあ、お嬢様急いで…」

 「ええ、リル。ほんとうにありがとう。また落ち着いたら会いましょうね」

 「はい、お嬢様。どうかお気をつけて…」

 「行ってきます」

 私はそうやって屋敷を後にした。


 目指すはメアリーの住んでいるフィアグリット公爵家の屋敷だ。

 王都にある貴族の屋敷はある程度まとまった高級住宅街にあるのでそう遠くない。

 私はメアリーに会うとしばらくかくまってくれるように頼んだ。

 メアリーは喜んで同意してくれた。

 遅いくらいだとも言われた。

 その後ルドルフと王宮に向かった。







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