第四話 「言葉を紡ぐ」
私は決して書くことのプロではないので、書くことを語るのはおこがましいのですが、書き残しておきたいと思ったので、すこし書かせてください。
私は小説を書いていますが、その小説を書く原動力は、おそらく同人誌を描かれている方と同じようなものだと思います。
最初にとても好きな漫画や小説があって、
好きで好きで仕方がなくて思いが強くなると、供給量が足りなく感じてしまいます。
まずはその好きなものを、ほぼ真似して書きます。
たくさん、たくさん真似して書いていきます。
この人のも好き、あの人のこんなところも。
と好きなものを寄せ集めていくと、いつの間にか真似ではなく、自分らしさになってきます。
今は、「ピクシブ」や「なろう」など供給を支えているものか多いので、そこまで思う人は少ないかもしれませんが、私は想像……というより妄想に近いですね、いろいろと湧き上がってくるのです。
そうすると、何らかの方法で形にしたくなる。
ファッションで表現する人もいれば、歌で伝えようとする人もいると思います。
私は「言葉を紡ぐ」ことでした。
例えば、月がとても綺麗であることに感動して誰かに伝えたいとき、それを写真や絵で伝えるよりも、私は言葉を紡ぎたいのです。
山に迷い込んでしまって、歩いても、歩いても、木々ばかりで人に会えなくて。
どんどん暗くなるのに、どうしたらいいかも解らず。
不安で、
寂しくて、
泣きながら歩いていた時に、ふいに視界がひらけて。
暗闇にうっすらと広がる丘が目に入り。
そこを照らす光のもとを辿って空を見上げると、そこにはいつのまにか雲一つ無い空に、ただひとつ白く光る満月があった。
「……綺麗だ」
こころがきゅっとなるような、胸に浸み込むような光に、思わず言葉がこぼれる。
この「綺麗」を伝えるには、物語が必要なのです。
そして、心にある「好き」という思いや、「楽しい」という思いや、時には「つらい」という思いを、伝えたい。
だから、私は「言葉を紡ぐ」のです。
だいたいは伝えたいこと、感動したこと、考えなどをノートに残していて、それを解りやすく、その光景を私と一緒に感じられるようにするにはどうしたら良いか。
そう考えてながら、ゆっくり物語を作り上げていきます。
言葉にする、というのはとても良いのです。
頭の中や、心の中で何かもやもやとしたモノがあります。
多くの人はそのまま流して忘れたり、友達に話したり、夢に見たりして消化をしていると思います。
「書き出す」というのは、相手がなくてもできるし、いつでもできるし、どんな事柄でも形にできる。
とっても自由で、無限な世界なのです。
ジャズの流れているカフェで、美味しいコーヒーを飲みながら、白紙のノートに大好きな文具で思いのまま書くのって、とっても気持ちの良い行為だと思いませんか?
ちなみに私は書字に障害があってワープロを使っていますし、最近までコーヒーが苦手だったのですが、昔から夢に見るほどこのシチュエーションに憧れています。
ぜひぜひ、皆さんも読むばかりではなく、「書くことの楽しさ」を味わってください。