表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
京夜日記  作者: 京夜
3/23

第三話 「勉強をする」


 東大理三に合格した河野玄斗さんが「勉強はコスパ最強です」と話して話題になりましたが、私もそう思います。

 勉強は人生を豊かにしてくれますし、下世話ですが財産とか地位とか、いろいろな願いがかないます。

 一方で、学校の勉強が役に立つの? と疑問を持たれると思うし、実際に社会に出てそれほど役に立つこともありません。ホリエモンさんやひろゆきさんが「学校は必要ない」と言っていることも、あながち間違いでもないと私も思います。


 では、勉強の何が役に立つのでしょうか。


 私は「問題の解決能力」と思っています。


 「問題の解決能力」とは、人生でよく目の前に現れる「壁」を超えていくための力のことです。

 あるときは仕事で出てきた問題あったり、

 あるときは男女関係での喧嘩であったり、

 スポーツの大会で優勝を目指すことであったり。


 そうした時に、どうそれを乗り越えていくかの力に、勉強は役に立ちます。


 問題を解決しようとする時にまず、情報を収集します。

 これは、いろいろな似た事例を集めたり、状況を整理したりすることです。


 次に、その情報をもとに考えます。

 直感の方もいらっしゃいますが、この「考え尽くす力」というのも馬鹿にできません。

 「深く考えることのできる」人は、より高い壁も乗り越えることができます。


 そして決断して実行します。

 ここも大変なところではありますが、十分に考え尽くしたと思えれば、体が自然と動くこともよくあります。


 行動し起きた出来事を検証して、次に活かします。

 これもとても大事な作業です。


 私の祖父が教えてくれた話で、今でも心に残っているのは、


「人生にはいくつもの分岐点がある。その分岐点で悩み、選択して先に進む。これで良かったのかと検証する。そしてまた分岐点が現れる。人生はその繰り返しだ」


 大なり小なり。

 本当にたくさんの壁であったり、問題であったり、分岐があります。

 それをどう超えていくか。


 勉強の問題を解くときも、似たような作業をしています。


 最初に問題を解くための知識が書かれているページがあります。ここで情報を収集します。

 次に、問題が現れて、情報をもとによく考えます。

 そして、解答を書く、つまり実行をして、

 合っているかどうか検証して、間違っていたら次に活かします。


 学校で繰り返してやる訓練が、意外とその後の役に立つのです。


 そんなことは実践で鍛えればいいじゃないか、という方。

 その通りです。

 実際、パナソニックの創始者「松下幸之助」さんは小学校を中退していますが、あれだけの大企業を作られました。

 発明王のトーマス・エジソンも小学校を中退しています。

 必ずしも学校の勉強がなければ駄目ということではありません。


 ただあなたの悩み、越えようとしている壁のほとんどは、それまでに誰かが乗り越えています。

 それを知るために、理解するために、学校の知識があると近道になります。


 飛行機が飛ぶ理屈を知るための基礎として、科学や物理が必要だったり。

 本を読んで知識を得る前に、国語が必要だったり。


 効率が良いのです。


 もう学校を卒業してしまった。

 

 本も全然読んでいない……と落ち込まなくても大丈夫。


 壁があったら、ぜひぜひ逃げたり立ち止まったりせず、勉強して乗り越えてください。


 他にも、楽しいことがあったら、楽しいことを知るためにたくさん勉強してください。


 私は漫画が大好きで読んでいたら、しだいに小説を読むようになりました。

 小説が好きでたくさん読んでいたら、書きたくなって小説を書くようになりました。

 勉強も、好きなことも、次へと繋がっていくことが多く、世界が広がっていきます。


 仕事で大変だった時。

 仕事以外の何もできなくて、他のことをすることに罪悪感を憶えたあの時。

 楽しいことは何もなくて、つらい日々でした。

 そんな時期も今になって振り返れば大切な日々ですが、ある日「楽しいこと、好きなことをしてもいいのではないか」と気づき、再開した時の世界の明るくなる感じもまた、忘れることができません。


 今は推し活も楽しんでいます。


 何歳になっても、ぜひ勉強を楽しんで欲しい。


 最後に、私の子どもの学校の広報誌に投稿した話を書いて終わりにしたいと思います。



 「勉強しなさい」


 かつて私が学生だった頃、親から一度も「勉強しなさい」と言われたことがありませんでした。

 私が優秀だったわけではありません。中学入学当初から下の方であり、さらに漫画とゲームに明け暮れ、成績は底を低迷していました。それでも親は「勉強しなさい」とは言いませんでした。何故なら私が何を言っても聞かない頑固者であり、そして親は放任主義だったのです。

 そんな私でも成績が「下にあと一人しかいない」という状況になって、「これはやばいな」と焦り始めました。それからは漫画で鍛えた集中力と、ゲームで鍛えた試行錯誤が、何とか成績をゆっくりとあげてくれました。高1の時は下位だったが高2で中位に、高3で上位になり、第一希望の大学は落ちたものの、何とか希望の学部は合格し、小学校の卒業文集に書いた将来の夢の職業につくことができました。

 ただもちろん、すべての生徒がいつかやる気を出して勉強ができるようになるとは言いません。同級生の中には、最後まで勉強をしなかった友達もたくさんいます。でも、彼らの学生生活は逸話や豪快な話に満ちており、今でもその出来事は酒の肴になり、そこで培われたコミュニケーション能力と生きる活力で、彼らは今も素晴らしい人生を謳歌しています。

 だから親御さんたちは心配しないで欲しい。子供たちはみんな、たくましい。

 ぜひ子供達のことを信じ、「勉強しなさい」と言わないであげてほしい。


 ……私が父親になってどうしているか、ですか?

 もちろん「勉強しなさい」と言っています。

 私は人間そんなにできていませんので。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ