第十六話 「やる気の出し方」
「……したいのだけど、やる気が出ない」
「そうするのがいいのは解っているけれど……」
継続するのも難しいのですが、そもそも「やる気を出す」というのは本当に難しいですよね。
そもそも「やる気を出さないといけない」ような「嫌なことをやる」ほど、人は強くはないのは当たり前です。
ただ、勉強だったり、ダイエットだったり、なかなか正しい・やるべきだと解っていても、「嫌なこと」であることは多いので、やる気を出すのは難しい。
では、どうしたら良いのでしょうか。
私が中学の時に成績がクラスの底辺になって、「これはさすがに勉強しないとまずいぞ」と思ったときどうしたか。
勉強に取り掛かるまでが、時間がかかるのですよね……。
勉強をやりたくないからまず掃除から始めたり、トイレに行ったり、ちょっと漫画を読み始めてしまったり。
どうしたら勉強に取り掛かれるようになるだろう、やる気が出せるようになるだろうと、いろいろ試行錯誤したり、本を読んだりしました。
掃除をしつくして、もう勉強するしかない、という状況に追い込む。
時間を決めて、その時間になったら嫌でも始めてみる。
勉強前のルーティーンを決めて、それをすると勉強モードに入るように繰り返す。
瞑想や深呼吸をする。
結論として、脳神経外科的に「やる気の出し方」はとにかく「やり始めること」と言われています。
つまりやる気だそうとする行動より、嫌でも何でも「やり始める」と「後からやる気は出てくる」と言われています。
体の行動が、心にフィードバックされるのです。
心が先ではないのです。
ただ、「嫌だなぁ」と思って始めることは、なかなか続かないと思います。
少しでも、「面白い」とか「楽しい」がそこに無いと難しいと思います。
筋トレであれば、少し筋肉がついてきたこと。
勉強であれば、少し成績が上がったこと。
ダイエットであれば、体形の変化がでてきたこと。
その時に、ちょっと「嬉しい」「楽しい」と思えたことが、「嫌なこと」に少し混ざってくれる必要があります。
なので、始めはあまり負担の無いところから始めて、とにかく取り掛かりやすくする。
勉強であれば、簡単な問題から。
筋トレならばストレッチから。
ダイエットなら、最初は食事制限せずにカロリーの勉強から。
で早めに小さな結果を確認する。
勉強ならば、このページは完ぺきになったぞ、という感触。
筋トレやダイエットならば、毎日体つきを見て、わずかな変化を見つけて自分を褒める。
こうして取り掛かりの「嫌」を「楽」に変えていき、取り掛かるまでの時間を短くすることを習慣化していく。
そうすると、「やる気」というのを意識せずに、すぐに取り掛かり、続けられるようになります。
好きかどうかは別として、仕事もそうですね。
毎日、定時に始まり、取り掛かることを繰り返すことで習慣となる。
やる気を待つこともありません。
慣れてくると、楽しくもなってきたりします。
まとめると、
・残念ながら、やる気スイッチはありません。
・とりかかりの壁をなるべく低くしましょう。
・とにかくやりましょう。
・小さな結果を見つけて、少しでも楽しいと思えるように褒めてあげましょう。
・続けて習慣化して、やる気を意識しないところへ持っていきましょう。
です。
「やる気が出ない」と勉強をしない子供。
「やった方がいいことは解っているのですが」という患者さん。
少しでも伝われば、と願いつつ。