第十五話 「数学のすすめ」
算数ならば、何とかできる。
数学と言われると蕁麻疹が出る、という人もいらっしゃると思います。
一度苦手と感じてしまうと挽回の難しい教科なので、それも仕方のないことかもしれません。
それでも社会ではやっていけますし、微分積分なんかできなくても困らないというのも正しくはあります。
先日、ホロライブの「さくらみこ」さんが、小学生程度の算数問題の耐久配信を行われていて、本人は、
「これぐらいできるよ!」
と高をくくっていましたが、思いのほか苦戦をしていて、ファンの方がヤキモキするという出来事がありました。
配信の途中で九九が怪しいことに気づいて、その場で九九の勉強をやり直して、何とか目標を達成します。
なかなかハラハラドキドキして、感動的な神配信でした。
そんなさくらみこさんですが、沢山の登録者を抱え、母親に家をプレゼントするほど稼がれています。
算数ができなくても何とかなる、素晴らしい世の中の一例であると思います。
それでも私は、数学の勉強することをお勧めします。
思われているより、世の中は数学に満ちています。
いわゆる詐欺や儲け話の類は、数学が解ると「何かおかしい」と気づけることができます。
例えば、
「マンションの一室を購入して人に貸せば、
毎月十数万円の収入があって、
年受け取れる利益の利回りは10%になります」
という、うたい文句があったとします。
これそのものは真実ではあるのですが、この利回りの計算の仕方に問題があります。
購入した金額を月に換算して、月の家賃収入を引いて利益としているのですが、購入した金額を何年で割るかによって、この数字はどうとでも操作できるのです。
それに、毎年にかかる修繕費などは考慮されていないことも多いですし、入居の無い時期のリスクも考慮されていません。
そもそも、10%という利回りは高すぎる、という感触も数字を扱うと解るようになります。
……少し難しかったらごめんなさい。
詐欺ではないのですが、宝くじや競馬について。
これは国が、購入した金額の何%還元することと、と決めています。
宝くじは、総務省が45-50%と決めており、競馬は農林水産省が70-80%と決めています。
つまりたくさん買えば買うほど、この%に近づく理論で、損をするのは当たり前なのです。
「夢を買う」という考え方は好きですし、偶然に大当たりする可能性や楽しさがあることも否定できません。
ただ、確立を知っていると、正直買う気にならなかったりします。
もっと確率の良い方法がありますので。
一番は働いて稼ぐことですね。
投資も、たくさん勉強したら確率は上がっていくので、良いかもしれません。
まあ正直、「楽をして稼ぐ方法は無い」というのは真実です。
ちょっと難しい話になりますが、この投資をする時、あるいは起業した時に、理解しなくてはいけない数字があります。
貸借対照表、損益計算書、そしてキャッシュフローです。
要するにお金の問題です。
貸借対照表は現在の状態を示すもの。
損益計算書は、月や年で見た赤字や黒字を見るもの。
そしてキャッシュフローは、実際のお金の出入りです。
なんで三つもあるの?
とか、なんじゃこりゃ、という声が聞こえそうですが、これを理解しないと地図を持たずに航海するようなもので、会社を経営することは困難です。
投資もまず無理でしょう。
お金を稼ぐには、思われている以上に数字との関りが重要です。
尊敬する経営者の一人に、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの経営をV字回復された株式会社刀のCEO 森岡毅さんがいらっしゃいます。
彼は、徹底的に数字に落とし込むことにより目標達成するための道筋を立てることで有名で、「数学を勉強することは、問題解決能力を伸ばす良い方法」と話しています。
私もまったく同感です。
年齢を重ねたときに、数学が強くなりたいときはどうしたら良いのでしょうか。
最低限の計算能力は、小学生のドリルか、さくらみこさんの例ではありませんが、ゲームを用いて練習をしたほうが良いかもしれません。
その後は、目の前の数字の問題に、嫌がらずに立ち向かうことです。
ローンを組むときであれば、詳しい方にいろいろ教えてもらってください。
子供教育の資金で悩むときは、夫婦でよく話し合いながら、実際に数字を書き出してみましょう。
怖がらず、嫌がらず、詳しい人に教えてもらいながら、理解していくことが大事です。
それが、自分を含めた大切な人を守る、大事な方法です。
数学や算数の話は、どうしても難しくなりがちですが、慣れるととっても便利で、楽しく感じるものです。
本当です。
この話が、どなたかの、何かの力になることを願って。