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京夜日記  作者: 京夜
12/23

第八話 「コミュニケーションの仕方 その二」


 そこから、いくつか自分のコミュニケーションの技術を見直し始めました。


 私は、会話の時、思いついた話をしたくなりがちなことに気づきました。

 例えば、相手が「この前ディズニーランドに久しぶりに行けて、とっても楽しかった」と話してくれた時。

 ディズニーランドという単語から、自分が連想した事柄、例えば、

「僕はディズニーランドに行ったけど、思ったより子供っぽいアトラクションばっかりで、今一つ楽しめなかった」

 と言ってしまいがちでした。

 自分の話、自分の世界にもって行きがちだったのです。

それが会話だと思っていました。

 でも、相手は「楽しかった」ことを伝えたかったのです。

 もっと相手の世界を知りたい、興味があるのであれば、

「どんなアトラクションが楽しかった?」

「仲良しの友達と行ったのかな」

「久しぶりに行くと楽しいよね」

 という返答になるはずです。

 人によっては、当たり前のやり取りでしょうね。

 ただ私には、そこはコミュニケーションの大きな転換でした。

「話された内容から思いついたことを話す」ではなく、「相手を知りたい、という思いから言葉を紡ぐ」のが変化の一つでした。



 次に意識したのは、これまた当たり前の「会話はキャッチボール」ということでした。

 例えば、「昨日、学校の帰りに急に雨が降ってきたじゃない? 天気予報でも晴れの予報だったから、傘も持っていなくて本当に困った」

 と話してくれた時に、

「折り畳み傘を鞄の中に入れておけばいいのに。私はそうしているよ」

 と返すのはおかしくはないのですが、おそらく話してくれた人の思いは別だと思います。

それでどうしたのか聞いて欲しかったり、困ったことに共感して欲しかったのではないでしょうか。

「私、折り畳み持っていたから声をかけてくれたらよかったのに。それでどうしたの?」

「困って下駄箱のあたりで立っていたら、クラブの先輩が声をかけてくれて。少し気になっていた人だったから、もう嬉しくて」

「本当?! 前に話してくれていた人のことだよね。凄い!」


 こうすれば、会話のキャッチボールと言えると思います。

 相手の思いを受け止め、その反応を返して、一緒に物語を紡いでいく感じです。


 しかし、私はそこで話を曲げてしまったり、飛躍してしまうことが度々ありました。

 話が途切れたり、膨らまないことが度々ありました。

 自分の友達あるいは親などがこうしたキャッチボールにならない会話をする人がいるのではないでしょうか。

 すぐに「……しなさい!」とか「……すべき」と話してきて、こちらの考えや思いを無視して自分の考えをまず押し付けてくる場合もそうだと思います。

 自分の正しさ、自分の考えを伝えることが大事なことになってないでしょうか。

 これも自分には大きな出来事でした。


 聞くことばかりではなく、話すことも書きましょう。

 どうすれば、相手に伝わるのか、とても悩んだことがありました。


 強く言えばよいのか。

 優しく言えばよいのか。

 詳しく言えばよいのか。

 具体的に言えばよいのか。


 今のところの結論としては、優しい言葉で解りやすく伝える、が一番良さそうですが、それで「相手が変わること」を望んでいけない、と思っています。


「忘れずに持っていってね」

 と伝えても、忘れる。

「言われた時に鞄に入れておけば忘れないよ」

 と言っても、やってくれない。


 あるあるです。

「馬を水飲み場に連れて行くことはできるが、馬に水を飲ませることはできない」

 という諺がありますが、やるかどうか、変わるかどうかは相手にゆだねられます。

 人は少しずつしか成長できないように、その言葉が相手にとってはまだその変わるタイミングではない場合、簡単なことでも伝わらないことはよくあります。

 なので、怒っても仕方がない。

 伝えつつ、その時が来るのを待つしかありません。

 一生来ないかもしれませんが、それも仕方がありません。

 そう考える方が、おそらく人間の行動原理にかなっているし、ストレスも少ないかと思います。


 反対に、人の話をまずやってみる人、素直に受ける人になれると、とっても得です。

 伝えられたことは自分にはできていないことなので、出来るようになるには自分の世界の壁を崩すこと、越えることが必要でけっこう大変です。

 でも、もしできたら世界が広がりますし、出来ることが増えますし、伝えてくれた人が関心を持ってくれます。

 最初からできるよりも、こうした素直さがあって成長できる人の方が好まれますし、結果的に大きなことをなしえると思います。


 捕捉しますが、もちろん自分の世界を誰に言われても曲げずに大成した人もたくさんいます。

 スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクなどは、その典型だと思います。

 ただこうした例はまれで、この生き方を貫くのはとても大変なことだと思います。

 スティーブ・ジョブズは自分で作り上げた会社を解雇され、イーロン・マスクさんは奇抜な行動ゆえにかなり大衆に叩かれているようです。


 こうした方がいいと注意されると、何か今の自分を否定されて嫌な気持ちになったりします。

 それに別に、言われたまま変わらないといけないということではないと思います。

 言われたことをやってみる、そして合う・合わないを含めて経験をして、伝えてくれた人に返す。

 伝えた人もやってみた、でも上手くいかなかったなら、素直にその旨を伝えればいいと思います。

 やってみてくれた、それだけでも相手は嬉しいものです。

 そうしてまた次のコミュニケーションにつながると思うのです。


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