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シャー芯勇者の巻き込まれ冒険譚  作者: 入鹿布団
転移とクラン入団編
9/9

入団試験

「【蘇生(リザレクション)】って連れてきただけで死んでるってどういうこと?」

「お前がいるから、ちょっと手荒でも速いほうがいいと思ってよ」

「いや、祈る時間増えるんですけど」

「まあ、未来の英雄を蘇生したとか言っとけば短くなんだろ」

「いや、神をなんだと思ってんだよ」


どうやら死んでしまったらしい。なぜ蘇っているんだろうか。そもそもここはどこなんだろう。気絶し、いや死んでたからどこかわからない。何処かの木造の家なのか、どちらかというとギルドみたいな内装だな。


「あっ起きたか。今からお前以外の入団試験者呼び...」

「殺す 【シャー芯生」

「は?」


ぱんっ


「【蘇生(リザレクション)】ちょっと頭とばすのはやりすぎですよ」

「まあ、何回もヤったら頭冷やすかなって」

「勘弁してください」


えっ、頭が消し飛んで死んだ!?首は?


よかった。繋がってる。

首に手を当てて確認する。

マリーさんに逆らうと一瞬で死んでしまった。本能的にマリーさんへの恐怖から何故蘇ったのかという疑問が浮かんできた。


「えーっと、これはどういう状況なんですか」

「君、これ以上死ぬと僕の祈らなきゃいけない時間がどんどん増えていくから大人しくして」

「あっすいません。ありがとうございます。落ち着きました」

「うん、よかった。僕がいないとこでは、こんなことしないんだけど、いるとこうゆう事になっちゃうから気をつけてね」

「はい、気をつけます」


自分の行動を後悔はしていないが、反省してマリーさんには手を出さないでおこうと決めた。あと、こんなに簡単に蘇るのはこの世界の常識にも当てはまらないどうなっているんだろう。いきなり死が身近になりすぎて怖い。


、、、そういえばここはどこだ?


「すいません。ここはどこですか?」


何回も復活させてくれる、黄金色が混ざった白髪で青い瞳の兄さんに話しかける。


「ここは王都郊外にあるクランハウスだよ」

「クランハウスってほんとに入団試験参加するんですか?」

「まあ、クランマスターが連れてきた人を自分じゃ追い返せないよ」

「もう帰っていいですか?」


そんなこと話しているとマリーさんが来て


「おっし、集まったなここにいる奴らが今回の入団試験の参加者だ」


マリーさんが連れてきた人たちは、頭にバンダナを巻いた褐色肌の男、肩から内に巻くように青髪が伸びている女、あと色がチグハグな髪にローブを改造したようなパーカーを着ている男。パーカーなんてこの世界で初めて見た。全員同年代あたりに見える。


「じゃあ、副クランマスターが連れてきた分かんねえやつもいるから自己紹介してくれ」


バンダナの男から自己紹介が始まった。


「俺はルルクってんだ。刀で強くなるために来た!」


元気ハツラツだが、一本筋が通ってるといったイメージだ。刀はこの世界にも存在していたのか。脳がそのように解釈しているから似通った武器があるんだろう。


「オリヴィア・ウォーダンよ。ちょっと癪だけど、私も剣を扱うわ。まあ、それなりに強くなれればいいと思うわ」


けだるいというよりは、少し物寂しさ、悲しさを感じる自己紹介だった。自分の背丈以上ある大剣を担いでいるけど、なぜそれなりの強さなんだろうか。


「僕はね〜トリジュって〜言ってね。錬金術師だよね~」


独特の空気感で何を考えているのかわからないといった印象だった。目線もどこかを向いてるからかもしれない。髪の毛の色も綺麗に分かれているわけではなく所々で色が違う。でもパーカーのようなものを着ているとまとまって見えるのはなぜなんだろうか。


あっ自分の番か。

まあ、これから付き合うわけじゃないから無難にできるだけ当たり障りのないことを言っておこう。


「シンジって言います。えっと皆さんみたいに名乗れることも得意なこともまだないですが、頑張ります」


「おう!なんかかしこまってるが同期だから仲良くしようぜ」

「あんたは自分のことが、まだわかってなくていいわね」

「よろ〜」


そつなく乗り切ったみたいだな。

よし、王都郊外なら1日乗り切って出ていけば、初めてのゴブリンにようやく挑戦


「じゃあ、早速入団試験だ。ゴブリン迷宮(ダンジョン)を攻略してくれ以上。副リーダーよろしく」

「はい、リーダー」


4人の足元から青白い光が溢れ出した。


ゴブリン迷宮(ダンジョン)?はぁ!?

ゴブリン討伐もしてないのにゴブリン迷宮(ダンジョン)ってあんのくそばばあぁ(マリー)ふざけんな!!





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






...っと。あの人といると【冷静】のスキルが発動しにくく感じるな。いや、冷静でいられないだけなんだろうか。


光が収まったので、周囲を見回す。

石の柱に石のレンガ、石畳の床に天井。

なるほど、この異世界では拉致のバリエーションがこんなにあるんだ。まずい、いっきに不安が押し寄せてくるそこの門からゴブリンが出てくるとかと思うと少しの高揚と不安で不安が勝ち動けなかった。


『ああ、ああ、これで聞こえてるか?はい聞こえてると思います。よし、今お前らが立ってるのは副リーダーが自作した ゴブリン迷宮(ダンジョン)だ。敵が強い方に進んでいけば攻略できる。今はバラバラになっているが最後のボスは全員同じだ。最後に攻略状況はこっちで確認してるから、死んでも大丈夫だ。お前らの限界を見せろ以上だ』


自作って規格外だな。

ルールも聞けたから、よし敵が弱い方に行こう。

ゴブリン討伐も弱ければ弱いほど最初はいいし、他の三人が攻略してくれれば終わりそうだ。限界を見えせろとか言ってたけど、もう死にたくないからね。


『あ、言い忘れてたが、ゴブリン迷宮(ダンジョン)を脱出するには宝玉に触れる必要があるから見つけてくれ』


うん、詰んだ。

ゴブリンに会うのも迷宮(ダンジョン)も初めてなのに、その中で宝玉探し? 生き残れる訳が無い。ゴブリンだけ倒すことが出来れば、隠れて時間を潰して生き残ろうと思っていたのにあんまりだ。


というか生き残ろうとしていてむしろ素晴らしいのに、拉致されてその状況に適応しようとしている事自体がもう少し不満を持っても許されないだろうか。

そもそも草原付近にいるゴブリン用の対策が、石畳のせいでできない作戦も多い。道の狭さからいざというときの逃げ場所が少ない。迷宮(ダンジョン)のゴブリンはどのように行動しているんだろうか。自作なら自由に操作できるんだろうか。



とりあえず、今できることは壁のへこみに貼り付こう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



ギシャッ


「こんな楽勝なゴブリン討伐って、試験になんのか?」


ルルクはゴブリンを片手間に倒しながら呟いていた。


「副クランマスターに負けたからついて来たが、こりゃ期待外れだったか。とりあえず強え奴がいそうな方に言ってみるか」


刀に付いた血を払いながら、奥へ進んでいく。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「はぁ、狭くて突きと叩きつけしかできない」


オリヴィアは自分の背丈の倍ほどある大剣を手にゴブリンを狩っていた。迷宮(ダンジョン)の中を動きづらそうにしながら進んでいく。


「また、このスキルのせいでやりづらいわ」


誰にも届かない愚痴は迷宮(ダンジョン)に溶けていった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ゴブリンに効くのは〜どれだっけ?これだったかな〜」


鞄から取り出した、液体の入ったガラス瓶をゴブリンに投げる。すると、ゴブリンの足元に落ちて液体がこぼれ出る。その液体を踏んだゴブリンの足から白い蒸気のような物が出て、もだえ苦しむ。


「あちゃー。ちょっと刺激が強すぎるね~。次のはこっちで行くよ~」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「各々の方法で着実に進んでますね。一人を除いて」

「お前が見つけてきた奴らの結構面白いな。あいつにゃ敵わねけど、あはっはっは。壁に貼り付いて動かねえぞあいつ。クククッ」

「ゴブリンを見たこともないらしいですからね。正しい判断だと思いますよ。でも、リーダー流石に入団試験は早かったんじゃないですか?」

「まあ、それも含めて楽しみだな」

「悪い癖ですよ。好奇心に他人を巻き込むのは。それで成り立っている部分もあるので、否定はしませんが、程々にしてください」

「わぁーたよ。おっそろそろ動くか」





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