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シャー芯勇者の巻き込まれ冒険譚  作者: 入鹿布団
転移とクラン入団編
3/9

前途多難な異世界

「黒木様、この【シャー芯】というスキルを使って頂けませんか?」


王女様が目をキラキラさせながら顔をずぃっと寄せてきた。


見たことのない食いつきにたじろいでしまった。


「あっすいません。見たことがないスキルに高ぶってしまって..。」


顔を離して、赤くしていた。王女様の意外な一面が知れてやはりあまり見た目で判断するものじゃないなと感じていた。


しかし早くスキルを使ってあげたいけど、使い方が分からないで困っていると…


「スキルはそのスキルを使いたいと念じていただければ使えますよ」


そんな様子を察した王女様が助け舟を出してくれた。

念じるか……あっほんとだ!

頭のなかにスキルの使い方が流れ込んでくる。


「じゃあ、いきます……【シャー芯生成】」


空中に置くように、黒い棒が作られていった。

目の前に、いつもよくみるシャー芯が出てきた。

ほんとにただのシャー芯だ...。

ステータスを見ると魔力が99になっていた。



えっ、これだけ?

これじゃあ、シャー芯が100本作れるだけってことか 。


「こ…これは、何に使うものなんですか?」


そうなりますよね。


これを初めて見たってことは鉛筆もないんだろうし、書くものといってもシャーペンがないと書けないし。

さっきの、神官さんが書いてたのも、羽ペンだったからインクみたいなものかな?


「えぇと、そうですねインクみたいなものですかね。シャーペンというものにいれて、これが削れることで文字を書きます」



「.........ということは、戦闘向きのスキルではないということですか...」



王女様が深刻そうな顔をしてうつむく。


どうしたんだろうか?

戦闘向きではないとなにか不味いんだろうか。


「実は...半年程前から魔王軍から侵攻を受けていまして、異界の勇者様にはその戦争に加勢していただきたいと考えています」


「............はい?」


言葉が全然飲み込めなかった。

魔王軍、戦争、しかも戦争に参加?

さっきここが異世界だと気づいたばかりなのに戦争?


何をいっているのか理解するのに少しだけ時間がかかったが、何とか返事をする。


「そ、それは、さすがに横暴じゃないですか」


「もちろん、無条件にというわけではありません。異界の勇者様方それぞれのスキルに合った教育係、師匠を一人一人ずつ付けさせていただき修行が終わった方から加勢していただくことになっています。」


「いや、それでも戦争はしたくありませんが?」


師匠を付けてもらっても、その力を戦争に使うのは

なんとなくだけれど嫌だ。


「戦争に加勢していただくということは軍人として扱われることになり、王国その他同盟国から支援を受けられます。なので、生活に困ることはありません。しかし、戦争に加勢していただけないとなるとこの世界の最低限の知識と冒険者として活動できる最低限の装備、1ヶ月の宿代を王国から支給し、王城から出ていってもらうことになります。」


「そういうことですか...。」


なるほどね、軍人として働けば公務員?みたいな感じで国からの支援を受けられる。また、教育係の人も付いて効率的にスキルアップできる。


でも、戦争に参加することを断ったら、国が支援する理由もなくなり、自分のスキルの伸ばし方、有効的な使い方などが分からないまま異世界に放り出されるってことか。


「すいません、最後に黒木様にお願いなんですが...」


ん?何だろうか


「実は、この支援制度が受けられるのはスキルが有能なものと認められた方たちだけでして、有能なスキルと認められなかった人は戦争に加勢していただけない方と同じ措置をとることになっています」


「はい、というのは?」


「これまでの、異界の勇者様は戦闘向きではないスキルだとしても、料理人や参謀など後方支援として力になってくれる方ばかりでした。しかし、黒木様のスキルは未だに有用性がわかりません。ですので、この世界の知識を身につけることと平行してスキルの有用性を確かめさせてください。そのあと、どのような措置をとるか決めさせてください」


「ちなみになんですけど、他のクラスメイトでスキルの有用性を確かめている人は?」


「最後に目覚めた黒木様だけです」


これは、前途多難かもしれない


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「シンジー、終わったか?」


部屋から出ると、優太朗が話しかけてきた。


「うん、ステータス見てきたけどなかなか大変そう」


「大変そう?、何で?」


さっき、部屋なかで起こったことを優太朗に伝えた.........




「あはははははっ、それって極振りしてる。あはははははは」


先行きがわからない状態の、同級生をこんなに笑うかね。

まあ、ちょっと気が楽になったけど。


「そんなに簡単じゃないよ。魔力に極振りしても適正をつけるの忘れちゃってるからね」


「それも含めて、極振りだね」


笑いが止まらない優太朗、場を和ませようとしているのだろうか。でも、聞かないといけない。


「優太朗は戦争に参加するの?」


「ははっ…………うん。」


笑顔がなくなり真剣な顔になる


「それは何で?」


「俺のスキルが'テイム'、'愛敬'、'擬人化'だった。

もちろん、戦争なんて参加したくないけど明らかに仲間に頼らないといけないスキルだったから、師匠をつけてもらおうと思ったんだ。仲間になってくれるならできるだけ傷つけたくないからな」 


「なるほどね。優太朗らしい理由で安心したよ」


「うん、ありがとう 親友」


親友そういわれて、自分がそう思われていると改めて認識すると自分もそう思っていることに気づいた。

なんかいきなりすごいことに巻き込まれたけど変わらないものもあると感じて少しほっとした。




「じゃ、近況報告はこの辺にしてお前のスキルこと教えてよ」


「いいけど、優太朗の'擬人化'っていうスキルも気になるな」


「ああ、これは心が通じ合ったテイムモンスターを擬人化できるっていスキルで「えっ、じゃあ…」

そうさ!これを使えれば自分だけの美少女隊を作れるんだ!」


「あはは…変わらないな優太朗は」


ぶれない親友に呆れた。

この時間がいつまでも続けばいいと思いながら、優太朗との談笑を楽しんだ。

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