8話 交流合宿の始まり
私達を乗せた3台の観光バスが鳥取県にある道後山に向けてゆるりと走行している。
辺りは山道で窓の外の景色はずっと緑が続いている。
バスの中はクラスの人達がこれから登山をするにも関わらず、体力をこれでもかとバスに付いているカラオケに注ぎ込んでいる。
賑やかなバスの中で私の隣に居る友紀はバス酔いで寝ている。朱利はクラスの子に誘われてデュエットで熱唱している。
かという私はこういうのは今まで殆ど楽しんでいなかったので座席に座って皆のカラオケを聞いていた。
自分は親譲りの音痴な為とてもじゃ無いが人様の前で歌う事など出来ない。
「お前ら、はしゃぎすぎな(笑)もうすぐ着くんじゃけぇ体力残しときーや」
「えぇー!じゃあ最後に先生も歌ってぇや!」
その言葉を機に皆が一斉に伊豆地先生と佐藤先生に歌ってコールが始まった。
若干私も聞きたい。皆の雰囲気に乗り私もコールに参加する。
「ダメダメー。さっきも言ったじゃろ?もう着くんじゃけぇ来年の修学旅行の時に歌っちゃるけぇ我慢せぇ。」
「先生ら忘れやすいけぇ覚えときねぇ」
えー!じゃあ絶対よー?と少しのブーイングの中皆、渋々諦めバスを降りる準備を各々し始めた。
私も降りる準備をしつつ、隣ですやすやと眠る友人を起こす。
「友紀〜もうすぐ着くらしいけぇ起きてぇや~」
「~……。ん~。」
唸りながらゆっくり起きる友紀。
大分バス酔いが治ったのか顔色が良くなっていた。
バスの外を見るとそこは1面緑の草原が広がっており、奥の方には私たちが登るであろう道後山が見える。
一日目の今日は一通りゆっくり道後山を皆で登り、軽くレクリエーションをしつつ交流を深める企画だ。
「点呼するけー降りたら広場で並んでやー!」
バスを降りると既に他のバスに乗っていた生徒達は並んでいた。
見たことがない顔があるなと思ったらその方は登山のインストラクターさんだった。
佐藤先生に誘導されながら私は自分の班の人達と一緒に並んだ。
「ではー!早速こちらの道後山へと出発しようと思います。インストラクターは私。田中真由子が先導致します!2日間よろしくお願いします~!」
インストラクターさんは可愛らしい小柄な女の方だ。それにハキハキと喋るので聞き取りやすい。田中さんモテモテじゃなぁ。
目で見えるくらい男の子が可愛いとかそういう風に思ってるのは何となく分かった。
「友紀、朱利。インストラクターさん可愛ええねぇ。」
「うんうん。美人さんじゃ。お肌ツルツルじゃない?何つこうとるんかなぁ?」
「確かに可愛ええけど、そんな事よーたら置いてかれる。涼音、朱利。もう進んどるけぇ行くよぉ。」
友紀は田中さんを可愛い可愛い言っている私と朱利を両手で掴んで班の人達と一緒に連れて行った。
私たちはまず、林道の中にあるなだらかな登り道を進んだ。緩やかな坂な為、皆余裕があり、雑談しながら登っている。
「この山登りやすいねー!」
「ねー!ほんと!」
隣の班の人達の会話が聞こえてくる。
確かに登りやすい。流石初心者でも登りやすいとネットでも書いてあっただけある。いや何様だ私は。
坂を登っていると東屋らしきところに着いた。
「少ーしここで休憩をします。水分補給はしっかりしてくださいなー!」
「はぁー。ちょっと疲れたぁ。」
「友紀ぃ。疲れたん~??相変わらずじゃねぇ」
「え。意外!友紀って運動苦手なん?」
そうなんよ〜意外じゃろ?運動出来そうな身長しとんのに(笑)と友紀の代わりに朱利が答えてくれ、心の底から意外だなぁと思った。
かく言う私は運動は多少は出来る。登山のような持久力ものは少し苦手だが、この山はなだらかな登り坂が多い為そんなに疲れてはない。
「あっ!そうじゃ!涼音~先生にレクリエーション何するんか聞きに行こうやぁ~」
「朱利……暇なん?」
「暇。」
友紀の問いかけに即答した朱利。ちょっと面白い。友紀は時間いっぱいまで十分休憩したいらしいので私と一緒に行く事になった。
「せんせ~レクリエーションって何するんですか~?」
「ん?」
我が担任伊豆地先生と佐藤先生のところに行くと何人かの男の子達と話している様子だった。その中には森井とこの前のワンコ系男子も居た。
ちょっと隠れよ。少し後ずさって朱利の後ろに隠れた。いや、正しくいえば朱利の方が背が小さいので隠れたとは言わない。
「レクリエーションはなぁー、この山の中に隠してある宝箱を探すちょっとした宝探しをするんよー。」
「宝探し!?」
「そー。危ないとこには隠さないから大丈夫!」
「中に入ってるのってなんなん?」
森井とワンコ(ry達は中身を聞いたが、そりぁ秘密じゃなぁと。答えて貰えなかった。
「まぁ。お楽しみに取っときねぇ。ほらぁ、もうすぐ行くけぇ準備しときーやぁ」
そして私たち一同は登山を再開した。
大分間が開きました。( ̄▽ ̄;)
少しペースを上げれるよう頑張ります( ᐛ )و