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ゆりかご  作者: 翠カ/愛カ
54/60

52話 罰ゲーム

 


「……………ぐふっ」


「あっはははははははは!!龍二ヤバい!!その格好ヤバいwwwww」


 大手を上げて大笑いするのは、加護が出ると言っていた柔道部のステージを見損ねた朱利だった。


 ヒィヒィと呼吸が乱れながら涙を流す朱利を少し恥ずかしそうに加護が見つめる。


 そう、先程まで開演されていた加護が所属する柔道部のステージは、『ドキドキ♡可愛い柔道部員と腕相撲』というものだった。


 こちらのステージも大いに盛り上がりそして、飛び入り参加が多かったにもかかわらず、なんと加護が主催者側として勝ち抜いた。


 その結果、まさかの景品を提供することができないという事態が起こってしまった。


その為、時間を延長しもうワントーナメントを行い予定をずらした事に対しての罰ゲーム執行中なのである。


 では何が罰ゲームなのかと?


 それは、柔道部のステージ発表でステージに立っていた全ての部員達は女警官や女教師、メイド服に、チャイナ服など女性の格好をして舞台に立っており、それは加護も例外ではなかった。


「…………wwwあんたっw女警官の姿で………wこの後ずっと……居らんといけん、訳……w??」


「……………」


 そう。今目の前に立っている加護は、ミニスカ黒タイツの女警官のコスプレをしているのだ。


 顔を手で覆いながら伏せた加護は心底バツが悪そうに落ち込んでいた。


「その〜……まぁなんと言うか、ドンマイ加護………」


 加護の格好に大笑いし続ける朱利を見ながら苦笑いで励ます友紀の視線の生暖かさたるや。


 唸りながらも、何とか立て直したのかパッと前を向く。


「~~~!しゃあねぇ!勝ったんじゃし良いや!」


 まだ若干火照りが抜けずに赤らんでいる頬と耳が私の目に可愛らしく映る。


「でも凄いね!全勝するなんて」

「ん!腕っ節には自信があります」

「あはははははっ!ww」


 ドヤっとキメ顔をするも、何せ、見た目は女警官の姿。


 やはり普段とのギャップに少しだけドキマギしてしまう。


 相変わらずお腹を抱えたまま笑い続ける朱利に遂には加護から一発肘鉄を食らわされていた。


「あー!百合と宵発見〜」


 突然名前を呼ばれ、声がした方に視線を向けると、真野くんがこちらに向かって歩いてきていた。


「あ、真野君!さっきの発表では準備を含めて色々とお世話になりました」


 真野君には私が貸し借りの件の清算としてステージ発表に協力して欲しいと頼んだ為、有志の美術部員の中で一番お世話になったのだ。


 美術部で同じクラスということで、他の部員達に伝達をしてもらったり、問題の構成とイラストの案を共に考えて貰ったり。


 先程のステージでも美術部のオマケ問題で司会をしてもらった。


 随分と私の貸しとは比べ物にならないぐらい大きいものになってしまった。


 感謝しか無い。


「良いよー俺も普通に楽しかったしー」

「真野っち良い奴じゃん!」

「俺は最初っから良い奴ですー」


 笑いがやっと収まった朱利が真野君向けて発した言葉に、心外だと言うような表情で冗談交じりに言葉を返す。


「てか、加護はなんでそんなカッコのまま???着替え忘れた?」

「実はかくかくしかじか的にこうなりまして」

「いや、分からん分からん(笑)」


 女警官のコスプレ姿をした加護見た真野君は謎と言うような表情で衣装全体を改めて見る。


 真野君はステージ発表が終わった後すぐにクラスの屋台運営に戻っていたのだからこうなるのも無理はないだろう。


「でも丁度いいや!加護、これ持ってからたこ焼き宣伝してや〜」


 そう言って加護へと手渡されたのは先程から気になっていた真野君が手に持っていた大きな板。


 もとい、これは私達が運営するロシアンたこ焼きの宣伝用看板だ。


「え、……まじ…」


「んじゃあよろ〜!!」

「ちょっ……待っ」


 引き留めようとした加護の手は中に浮いたまま、そそくさと逃げ帰る真野君の後ろ姿を少し悲しそうに見つめた。


 一つ大きな溜息をつき、ガシガシと自身の頭を掻き乱す。


「………ふっ」

「?」


 思わず笑いが零れ、不思議そうな表情で朱利と加護がこちらを覗き込む。


「……このまま皆で回るんじゃって思ったらちょっと可笑しくて」

「あはw確かにむっちゃ目立つじゃろうしな」


 状況を想像したであろう友紀がクスクスと笑い、同時に朱利が私の腰に抱き着く。


「オモロそうじゃん!じゃあ龍二が先頭でチョコバナナでも買いに行こーや!」

「俺先頭かよ」

「そりゃあそうじゃろ一番目立ってロシたこ宣伝せにゃあ!」


「おら罰ゲームだ働け働けェ!」と女警官の格好をした加護の背中をバシバシと叩き、体育館から出るよう促した。


 後を追うように友紀と共に着いていき、体育館から出た瞬間から既に加護は注目の的だった。


 観念したのか、加護は自身が持たされた宣伝看板を掲げ普段通りの声色でロシアンたこ焼きの宣伝をし始めた。


 顔見知りの同級生達に揶揄われながらも笑顔で応答する加護の少し火照った様な耳の赤さに少しばかりキュンと胸が高なったのはここだけの話だ。

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