1話 入学式①
4月7日
今日は高校の入学式。
路線バスを降り、新しい通学路である山近くの土手を私、百合涼音は静かに1人で歩く。
川の流れを眺めていると飛び込みたくなる
……泳げないけど。
私は小中の人達と鉢合わせないよう、割と偏差値の低い他県の私立高校を受験した。
残念ながら不登校だった私は公立に行けるほどの学力を有していない。
何せ、成績は5段階中の1と2、(国語だけが3)しかなかった為中学の先生には苦笑いでソフトに真面目だけど流石にこれじゃあ公立の授業大変だと思うよ的なことを言われた。
まぁ、否定はしない。
否定出来るわけない。
事実だもの。
それにギリギリで受験が受かっても授業について行けなくて置いていかれたら義務教育ではない高校では恐らく即死だ。
でも今日から私立に通う私は変わる。
勉強を頑張り、人間関係も中学の時より広げる!!
言い方は悪いが、見た目で判断する人とは仲良くはなりたくないので必要最低限の会話以外はしない。
ただし、平等に接する。
何故なら、
高校からの私のモットーは
「自分が嫌だと思うことはしない事」そう心の中で決意を固めているからだ。
そんな事を考えながら、歩みを進めていると私が入学する高校の屋根が見えてきた。
私立清澄高校。
山の麓に建てられた非常に歴史深い学校で江戸時代の寺子屋から大きく発展して私立高校になったらしい。
そのため、沢山の卒業生の方達が居り、就職するには持ってこい!な学校として学校紹介のパンフレットに記載されていた。
勿論、進学にも力を入れていて、有名大学に行った卒業生も割と居るらしい。
だが、その割に生徒数は県内で1番少ないとの事。少人数の方が私にとっては有難い話だ。
空を見上げると雲ひとつない晴天。いや、快晴だ。
清々しい。
が、さっきから何か喉に込み上げてくるものがある。そう……
吐☆き☆気☆
いや、笑い事では無い。本当に。
まぁ、原因は十中八九、目の前に見えてきた高校と私と同じ入学生達が目に入ったからだろう。
恐らくは、緊張と加速しなくてもいい身勝手な被害妄想のせい。
色々考えすぎてしまうのが原因なのは重々承知の上だが本人の意志と関係なく勝手に考えてしまう。辞めれたら苦労はしない。
幸い時間はまだたっぷりある。
深呼吸で心を鎮め次々と増える学生等を横目に顔を上げ出来るだけ涼しい顔をして、土手にかかった橋を目指してゆっくり歩く。
吐き気収まるかなぁ。
ザワザワする心を落ち着かせながら更に歩みを進める。
記念すべき本編1話目です。
誤字脱字が有れば報告お願いします。m(_ _)m
入学式②へ続きます。