プロローグ⑥ 訪問(学校)
遅れてしまってすみません。
ひょっとして3日に一度投稿って無理があったのかなあ。
なろうでは毎日投稿している人が多くいるので三日に一度なら自分にもと思ったのですが、
遅刻投稿、ギリギリ投稿ばかりでほんと、レッドカード待ったなしです。
そのかわりといってはなんですが、頑張って明日も投稿します。
今回投稿が遅れたのはプロローグラスト3000文字を一話にまとめようとしたからで、
ただ最後の方で駄目だと気づいて半分の文字数でとりあえず投稿ってしたので
書き溜めというには僅かですが少しいつもより余裕があるのでなんとか仕上げられそうかな?
しばらく歩いていると、不意に卯ノ花さんの足が止まる。
どこに向かっているのかも知らない俺は、ただひたすらに彼女のあとをついて行っただけだ。
だから、俺自身に目的はない。
彼女に何かしら目的があるというなら同行するだけ。
しかし、彼女の目的地はどうやら、俺の為の場所のようだ。
「卯ノ花さん、…ここ…」
「えぇ、三甲市市立高等学校。ここに来るの転校の手続きの時以来でしょ?
下見というか、明日迷っちゃったら大変だからね。」
やってきたのは俺の転校先だった。
自分自身、あの事件で全てを亡くして、別に学校も何もかもこちらが希望した訳ではないのだが。
いつの間にか転校という事態になっていた。
卯ノ花さんはいい人だと思う。
彼女は学校のことだけじゃなくて、家とかお金のこととか、俺が頼んですらいないのに、当然とばかりに世話をしてくれている。
打算がある訳でもない。
そも俺にそこまでする利用価値もない。
だからこの人は優しい人なんだろう。
けど、だからこそ、俺は自分がわからない。
与えるのは見返りがあるからこそだ。
俺に一体何が返せるというのだろう。
「おぉ、みんな元気だねぇ。ほら、あれ野球部じゃない?これぞ青春って感じでいいと思わない?」
声に振り向くと、卯ノ花さんは校門から半身を傾けるようにして運動場の方を覗いていた。
運動場には彼女が言うように動きやすそうなシンプルなデザインの体操服の生徒がそれぞれ、バットやクラブを持ち2チームに別れて、互いに熱のある視線を交錯させていた。
が、そんな風にスポーツに力強く拳を込める生徒もいれば、我関せず、我関係なし、と消極的な生徒もチラホラ見受けられる。
卯ノ花さんはあれを野球部と言ったが、時間帯を考えてもあれは……
「ただの授業の一環だと思いますよ。あれ。」
「あっそっか、まだ1時半かぁ、午後の授業真っ只中だもんね。……そうだ!せっかくだし君もあそこに入ってきなよ!」
何がせっかくなのか、卯ノ花さんは閃いたとばかりに、にんまり笑って運動場の方へと顎で催促してくる。
一体何を考えているのか。確かに俺は明日からはここの生徒だが、あくまで明日からだ。今の俺の身分はただの漂流予定者、敷地に入ろうものなら、それは登校ではなく侵入だ。第一、周囲から白い目でも、面白い目でも見られるような悪目立ちはしたくない。
「嫌です。あんな凝り固まったグループに突入するほど、野球少年でも奇人でもないです。」
「ははは。じゃあ帰るか。」
用はなし、とばかりに名残りなく立ち去っていく。
その後を追って歩く。
「えらく、あっさりですね。」
「まぁね、参加とは言わずとも、見学という形でもどうかなぁと思ったけど。江島君は慣れるというより余計に緊張してしまうタチかなってさ」
「じゃあ、からかったってワケじゃなくて、…えっと…その……気を使ってくれたってことですか」
「あそこに行ってこいってのは半分冗談だけどね、うん、でも確かに行ったら行ったで友達と体を動かしていいかなぁとは思ったかな。」
「それ、すごいご都合主義ですよ。」
早朝や夕暮れどきならばいるのであろう通行人は一人もおらず、2人ぼっち他愛なく話しながら歩く。
あの学校に行くのは2度目だった。
1度目は休日に訪問したもので、あんな風に学校特有の人の集まりを見るのはこっちに来てから初めてだ。
懐かしさもあった。俺の記憶通りの学校、思い出とどこと変わらない、きっと世界が違っても子供の集まりなんてどこもかしこも似たようなものなのだろう。
けど、違和感と呼べば良いのか、自分でも言い表し難いものが今の風景を見て心に生じたんだ。
俺はこんなにも変わってしまって、どうしてこんなにズレてしまったのだろう。
いつも読んでいただきありがとうございます。