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プロローグ②

最低限3日に一度は投稿しようと思っていたのですが、本当にギリギリですね。

1話を読んでくださった方にはおそくなってしまい申し訳ありませんand読んでいただきありがとうございます。

もう少し投稿スピードを上げられるよう精一杯頑張ります。


「また口が止まってるよ江島君、何かあったんじゃないの?」


言われてハッと気づく。

考え事してただけと吐き捨てるように言い、最後のベーコンとご飯をまとめて胃に流し込む。

俺が何も答えないと卯ノ花さんは続けて言う。


「それとね江島君、確かに君の元いた世界とここは違う。けどそれ自体に構えることは無いよ。私たちがいる世界と君が居た世界の違いはね、どちらが先に産まれたのか、これだけなの、どっちだって同じ規則だし、言語だってそうでしょ?まぁ、私みたいな魔法使いはいなかったのかもしれないけど、君が知らないだけで似たようなものがいたのかもしれないしね。だから君が心配するようなことなんてせいぜい明日の朝ちゃんと間に合うように早起きすることぐらいよ。」


じゃあご馳走様と卯ノ花さんは椅子から立ち上がり食器を台所へと運んでいく。

しっとりと歩いていく彼女の後ろ姿はそれだけでとても端正だし、

肩まで伸びた銀色は澄んだ川みたいになめらかに揺れていて今は寝巻きだけど、きちんと御粧しをしてそれなりの服を着こなして街に出たらかなり目立つだろう。


俺はそんな彼女を目で追いながらも、残り僅かとなったご飯を一気に平らげる。

白米はもっちり寄りの硬さでそれだけでも全然いけるのだがやはりおかずがないと少し悲しく、

もっとベーコンや玉子との配分を考えるべきだったとちょっと反省。

俺は食べ終わった皿を手に台所で彼女のものと一緒に洗うとする。


「あぁ、ありがとう。」


毎日の流れだ。

最後に食べ終わった方が片付けをする。

特に明確な決まりという訳ではなく、1週間ほど生活していく内に自然とそうなったものだ。


「それと、今日は買い物に行こう。9時の電車に乗るから遅れないように。」


「買い物って、俺もですか?」


買い出しは基本的に卯ノ花さん1人の領分だ。

ここに来た当初は街を案内するとか言って俺も付き添っていたのだが、

1度店員に仲のいい家族ですねと間違えられたことがあり、店の中では卯ノ花さんも平静だったが家に帰り着いて聞くと俺とそう間違われたことにどうもあまり気が良くないらしい。

家族というものに何か特別な思い入れでもあるのか、はたまた単に女心というものなのかはわからないがとにかく今後そのようなことがないようと、俺が必要な時以外、外出は彼女1人だ。


「おでかけ来ないの?引きこもり癖はよくないよ江島君。他に用事とかもなかったと思うけど。」


強制するわけでもなく、仕方がない風に言う。

俺自身ここ1週間はこの家を離れていなかったのでどんな形であれ外出は願ったり叶ったりな提案だった。


「いえ、珍しいなと思っただけです。」


じゃあ、決まりと卯ノ花さんは短く切り、そのまま部屋を出る。

俺はちょうど食器を洗い終わったのでそれを食器棚へと戻し、

廊下からドタドタと忙しそうに小走りしている音が聞こえる。


時刻は7時40分

ここから駅までは30分ほどなので支度にかかる時間を多く見積もっても余裕がある。

俺はダイニングを出ると隣の自分の部屋で着替えと荷物の準備をする。ちなみに卯ノ花さんの部屋はダイニングからコの字型の廊下を進んで奥、ちょうど俺の部屋の壁を挟んでのところだ。

なので決して大きいわけじゃないがやや気になる程度生活音が聞こえてしまう。


バタバタ バタバタ


しかし時間には余裕があると思っていたが、案外女性は別なのか。

そりゃあ、化粧やら身だしなみに時間がかかるのは知っている。男の俺だって多少服とか髪には気を使う。

けどあの人こんなに慌ただしかったっけ?

大抵いつも顔だけ洗って、服なんて着れればなんでもいいって感じの人、少なくとも俺は普段の彼女をそんな、どちらかといえばズボラな人と思っていたのだが。

今日の彼女はえらく時間を掛けてる気がする。

何かあったのかと思案し、すぐに思い当たる。


「あ」


彼女は9時に電車があるから遅れないようにと言っていた。

ここ卯ノ花邸は明見山(みょうけんざん)の中腹に位置するのだが山甲市(さんこうし)の近くにあり、最寄りの駅も15分に1度くらいは止まってくれるため特に何時に電車が来るからと急ぐ必要はあまりない。

そんな中急ぐ必要とすれば、


「どこかでバーゲンか、それも開店時間狙いで」


1人納得し、俺もパジャマから着替えるとする。

ガチャり

クローゼットの中には3着のTシャツと3本のズボン、

どれも卯ノ花さんが買ってきてくれたもので、

はぁ、と息がこぼれてしまう。何から何まで世話になっているなと、

少し自分に嫌気が差してくる。


「   …… 」

雑念を捨てるみたいに掛けてあったモノを乱暴に取る。

俺はさっさとそれに着替え、ショルダー型の鞄に荷物を整えると洗面所へと向かう。








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