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71.可愛いウサギさん

犯人からの連絡を待つリオール家では、ロイド、マイロ、アシュアの三人が騎士団によって送り届けられた。


何も聞かされていない三人は、家の中に入ると直ぐにリビングへと向かって行く。

家の中にも騎士の人達がおり、物々しい雰囲気を醸し出していた。


一体何があったのかと不安げな表情を見せる三人は、リビングの扉を開けて中へと入って行った。

ファスターの姿を見つけたロイドは、急いで駆け寄った。


「お父様、ただいま帰りました」

「・・ああ。お帰り」


覇気の無い父の声に、益々不安になる。

横に立ったアシュアが、ロイドの服の裾を掴んだ。

弟妹の不安げな様子に、ロイドは覚悟を決めてファスターに尋ねた。


「一体、何があったのですか?」


ファスターは両手で顔を覆い俯いてしまう。

ようやく開いた口からは、なんとか絞り出した様な小さな声が零れ落ちる。


「ルシエルが・・連れ去られてしまった」

「ええ!」

「嘘っ・・。ルーシェ」

「そんな・・」


ロイド達は、顔を青褪めさせ愕然とする。

今まで皆んなで力を合わせてルシエルを守り続けて来た。

知らない人が怖いと怯えながらも、家族に心配をかけない様に笑顔を見せてくれていたルシエル。


そんな可愛い弟が、今度は本当に誘拐されてしまったのだ。

怯えて泣いているであろう弟を思うと、胸が張り裂けそうになる。


「すまない・・。私の判断ミスだった」

「・・まさか、今日も幼児育成順応学校に行かせたのですか?」

「えっ?どうして・・。昨日はお断りするって、ルーシェに約束していたじゃない!」

「どうして学校に行かせたりなんかしたのですか!」


ルシエルを心配するあまり、ロイド達は感情的になってファスターを責め立てた。

ファスターは、言葉なく俯いてしまう。


その時、ロイド達の背後から声が掛けられた。


「申し訳ございません。それは、全て私の責任です」


部屋へと入ってきたのは、頭や顔や腕に包帯を巻き、足を引き摺りながらなんとか入室してきたべオードリーだった。


「べオードリー先生・・」

「ファスター様。御子息をお護りする事が出来ず、本当に申し訳ございませんでした」


べオードリーは怪我をした体で絨毯の上に跪き、そして深々と頭を下げて土下座をする。

そんな彼の元にファスターが歩み寄った。


「もう顔をあげてください。お怪我にさわります。貴方が最後まで息子を守ろうとして下さった事は、その怪我と貴方の人柄から分かっております」

「いいえ。守れなかった以上、許されるべき事ではございません。私は何としてでも、お預かりした御子息をお守りしなければならなかったのに・・。本当に申し訳ございませんでした」

「べオードリー先生・・」


ファスターは彼の体を起こそうとしたが、べオードリーは顔を上げようとしなかった。

酷い怪我を負いながらも、こうやって来てくれた彼を責め立てる事などファスターに出来る筈が無い。

沈黙の時間が暫し流れた。

肩を震わすべオードリーは、あの時のルシエルを思い出していた。


「ルシエル君は、皆んなに手を出さないと言う約束を犯人にさせてから、抵抗する事なく彼等について行きました。私達を守る為に、その身を犠牲にしてくれたのです。私は、そんな優しい彼を守れなかった・・」


床に突っ伏し、激しく泣き出したべオードリーの肩に、ファスターが優しく手を置いた。


「そうでしたか。話して下さり、ありがとうございました。私は、そんな息子を誇りに思います」


立ち上がったファスターは、土下座のままのべオードリーと涙を浮かべる子供達の顔を順に見る。


「ルシエルの事が心配ではあるが、私は希望を捨ててはいない。ルシエルは必ず帰って来ると信じている」

「お父様・・」


ロイド達もそう信じたい。

ファスターの顔を見つめ、大きく頷きを返した。


「それに、この件にはザガリル軍の方達が動いて下さっている」

「あっ!そうなのですか!」

「良かった・・」

「えっ?でも、ザガリル軍の方達は、ザガリル様と一緒にお出掛けなさっているのではなかったのですか?」


マイロの言葉に、アシュア達が思い出したと言う顔をする。


数日前から、マギトもタナーもネルもこの家に居ない。

特別訓練への参加で、暫くは帰れないと言っていたのだ。


「ザガリル様と一緒には行かなかった第四小隊様達が動いて下さっている。恐らくそこから、ザガリル様にもこの事は伝わっている筈だ」

「ザガリル様なら、きっとルーシェを助け出して下さるわよね!」


皆んなを見回すアシュアの顔に、笑顔が溢れた。

まだどうなるか分からない状況ではあるが、ルシエルはザガリル様のお気に入りだ。

あの方なら絶対にやって下さると、どこか信頼が持てる。


(そうだ!シルフィナさんにお手紙を書いて、ルーシェの事をザガリル様にお願いして貰おっと!)


アシュアは自分の机の引き出しに入れてある、彼女(シルフィナ)から貰った魔導即送鳥を思い浮かべた。


この間の手紙で、シルフィナさんとザガリル様がお付き合いを始めたと聞いた。

とても驚いたが、シルフィナさんの様に素敵な方なら・・とも思い納得をした。


付き合い始めたばかりの二人は、きっと離れているのが寂しくて、対の魔導即送鳥を持っている筈だ。


(早く手紙を書いて、お願いしなくっちゃ!)


アシュアはリビングから出ると、急いで自分の部屋へと向かって行った。




◇◆◇◆◇




魔導馬の魔力を追跡しながら空を飛んでいたガフォリクスは、グッと眉間にシワを寄せた。


向かっている先に、人の集まりを感じ取ったからだ。

どうやらこちらの動きがバレているらしい。

ガフォリクスの表情に、隣を飛ぶ副官ダグマイトが気が付いた。


「如何致しましたか?」

「どうやら、私達の到着を待ち構えている様だ。我らは魔力を極限まで抑えている。それでも気が付かれると言う事は、かなりの手練れがいると見て間違いはない」

「油断は出来ないという事ですね」

「・・そうだな」


此方からも相手の動きが読み取れる。

そうなると、全員が強いという訳ではない様だ。


ただ、ガフォリクスが相手の動きに気がつくより前に、向こうはこちらの動きを察知して兵隊を動かしている。

そうなると、ガフォリクスよりも強い者が最低でも一人はいると言う事になる。


(ザガリル様の名前を持つ軍を率いて、負ける訳にはいかない)


気合を入れ直したガフォリクスは、決戦の場へと向かって行くのだった。



飛び続けた第四小隊の前に、ひらけた大地が広がった。

その先には立派な庭園と、大きな屋敷が見える。


「ガフォリクス様の言う通り、庭園内に複数の人の気を感じます」

「それは雑魚だ。強敵に注意しろ。それだけは私が相手をする」

「承知致しました」


ガフォリクスは視線を前に移す。

勝てるかどうか分からない。

しかし勝たねばならないと言う重圧が彼を襲う。


「まずは誘拐された子供の身柄を確保する事が先決だ。こちらの動きが気づかれている以上、奇襲は出来ない。犯人側との対話を持つ」

「了解致しました」


ダグマイトは手の平を下に向け、上下に動かした。

その動きを見た後続者達は、高度を緩やかに下げて行く。


下降した第四小隊は、庭園の入り口に次々と降り立った。

美しく整えられた庭園は、とても広さがあり、彼方此方に隠れている者達の数も多い。


(153人といった所か・・)


ざっと数えてみた所、それ位だと思われる。

しかし肝心の、ガフォリクスよりも強いと思われる人間の姿がどこにもない。

その事が、ただただ不気味に感じさせられる。

警戒をそのままに、ガフォリクスは大きな声を張り上げた。


「私は、ザガリル軍第四小隊隊長ガフォリクスである。誘拐された子供の救出にやって来た。私は、代表者との対話を望んでいる」


ガフォリクスの言葉に、庭園内に誘拐犯の頭の声が、魔導拡声石を使って響き渡った。


「アンタがガフォリクスか。昔は騎士団長をやっていた程の実力者だと聞いている」


そんな事まで知っているのかと、ガフォリクスは驚きを見せた。

彼が騎士団長だったのは六百六十六年前だ。

庭に居る兵隊達は、それ以降に生まれた者達しかいない様に思える。

そうなると、知っていたのは強敵の者という可能性は高い。


「その情報が有益かどうかは分からんが、それを踏まえた上で交渉をしたい。子供を素直に渡すのなら、命だけは助けると誓おう。従えぬと言うのなら、実力行使で取り返すまでだ」

「これはこれは、隊長様は血の気の多いお方の様だ。確かに子供は預かっている。だが、それを素直に差し出すとでも?」

「そちらの考えは分かった。ただ、子供が無事かどうかの確認だけはしたい」


ガフォリクスはチラリとダグマイトに視線を移す。


「子供の姿を確認次第、私の魔力でその子供を保護する。隊員二名は、その子供を連れて即座にこの場を離脱せよ」

「承知致しました」


ダグマイトは後ろにいる男二人に目配せで指示を出す。

ガフォリクスとの会話を聞いていた男二人は、即座に頷きを返した。


ガフォリクスは視線を前に移す。

ガフォリクスの力を持ってすれば、子供の姿が少しでも確認出来れば、即座に結界魔法でその子供を保護、確保する事ができる。

そしてその後、誘拐犯達を一掃する。

何処かに潜んでいるであろう強敵を前に、雑魚はサッサと片付けたいと言うのが本音である。


ガフォリクスは、その一瞬の隙を見逃さない様、グッと拳に力を入れた。


「ガキねぇ・・。まあいいけどな。バルコニーを見ておけ」


魔導拡声石からは、頭の男がガサゴソと移動する音と共に、子供に話し掛けているであろう声が聞こえてくる。


「おい、ガキ!隊長さんがお前の姿を見たいんだとよ。サッサとバルコニーに行け。遊ぶのはその後だ」

「うん」


(遊ぶのはその後?)


ガフォリクスは、疑問に思い首を傾げたが、誘拐した子供を大人しくさせる為に遊んでやっているのかもしれないと思い直した。


気を取り直してバルコニーを見つめていたガフォリクスは、バルコニーの手摺りに座った幼い子供の姿を確認する。

そして即座に子供に向かって結界を発動させた。

しかし、子供に向かって掛けた筈の結界魔法は、一瞬で解除されてしまった。


(なっ・・。やはり、屋敷の中に強敵が潜んでいたのか)


悔しそうな表情をしたガフォリクスの耳に、魔導拡声石から可愛らしい声が響いてきた。


「ガフォリクスおじちゃーん。助けてー」

「えっ?」


ガフォリクスはその目を凝らしてバルコニーを見つめた。

遠く離れている為、その姿をハッキリと確認出来ない。

しかし、何か嫌な予感がする。


自身の目に望遠魔法を展開してバルコニーを見つめたガフォリクスは、口を開いたまま唖然とした表情をした。


ゴシゴシと手で瞳を擦り、そしてもう一度改めてバルコニーを見つめてみる。

何度見ても間違いは無い。


可愛らしい真っ白な長い耳のついたウサギの帽子を被っている、まだ幼い子供。

その姿はとても愛らしく、まるで天使の様だと誰もが絶賛するほどの美しさを持っている。


ガフォリクスはあの子を間近で見た事があり、そして嫌と言うほど知っている。


(なんでよりによって、あの方を誘拐なんてするんだ・・)


誘拐犯達に対して、激しい怒りと苛立ちの気持ちを持った。


誘拐された子供があの方(ザガリル)だと分かっていたのなら、正直来たくなかった。

治安維持の為に出動しなければならないのならば、せめてルベレント伯爵から聞いている父親のファスターという人物を連れて来るべきであったと、後悔が先に立つ。


そして、それと同時に先程の男の言葉が頭を過った。


(遊ぶのはその後・・。まさか、その遊びと言うのは・・)


過去あの方と関わってきた記憶から、簡単に推測が出来ていく。

暇潰しに何か良からぬ遊びを考えついたのであろう。

あの人の性格から言ってこれは間違い無い。


ガッカリと肩を落としたガフォリクスに、ダグマイトが心配そうに声を掛けた。


「まさか、お知り合いの方だったのですか?」

「あ、ああ・・。知り合い・・だな。リオール家の三男のルシエル君だ」

「あの子が、ザガリル様が特別に目をかけていらっしゃると言う少年なのですか?ならば一刻も早く救出をしないといけませんね。・・あの、結界魔法の方は・・」

「弾かれた」

「ガフォリクス様の力を弾き返す様な者がいると言う事ですか!?」


ダグマイトは顔色を変えながらバルコニーを見つめた。

その様子にガフォリクスが小さくため息を溢す。


(助けようとしているあの子供本人に弾かれたんだがな・・)


助けて貰う気はゼロの様である。

可愛らしいウサギの帽子を被っていても、隠し切れていない魔王よりも魔王らしい嫌な空気をガフォリクスだけが感じとっていた。


「どうだ。ガキの無事は確認出来ただろう?まあ、俺達も根っからの悪人ではない。一つ遊びをしようじゃないか。生き残った方がガキを手に入れる。実にシンプルなゲームだ」


出来る事ならこのまま踵を返して帰りたい。

しかしそうもいかないガフォリクスは、仕方無しに尋ねた。


「その遊びとは?」

「お前達の主人である英雄ザガリルが作った玩具だ。おい、ガキ。それを奴等に見せてやれ」

「うん。これだよ」


ルシエルの手には赤い木製の何かが見える。

魔導を飛ばしてその木を調べてみたが、特に何か魔法がかけられている形跡は無い。


「あれはなんなのでしょうか。ザガリル様が作った物とは・・」

「さあな」


(ロクな物じゃ無い事は確かだ・・)


ガフォリクスは続きの言葉を、心の中でひっそりと呟いた。

あの手に持っている物の正体は分からないが、恐らく遊びには何の関係も無い物であろう。

正確に言えばダミーだと思われる。


あの人の遊びと言うと、思い浮かぶ物は死と隣り合わせのゲームのみである。


昔、まだガフォリクスが騎士団長をやっていた頃、城に戻ったザガリルによって騎士団が強制的に遊びに付き合わされていた事がある。


軍隊員対騎士団員の戦い。

力の差が激しいので、軍隊員にはそれなりの負荷がかけられた状態での戦いであった。

それでも、強者である軍隊員相手に、騎士団員では勝ち目は無い。

ズタボロにされていく騎士団を、ザガリルはお酒を飲みながら楽しそうに見ていると言うのが恒例であった。


恐らく第四小隊の気配に気が付いた強者と言うのはザガリルであろう。

そうなると彼方の戦力は大した事がなく、此方の戦力の方が強くなってしまう。

ともなれば、負荷を掛けられるのは第四小隊となる事は明白であった。


「全員、遊びが始まったと同時に全拒否防御。使えぬ者は、掛けられる防御魔法の全てを掛けろ」

「「ハッ!!」


全拒否が掛けられるのは三分の二程度だ。

しかしその全拒否を掛けたとしても、何処まで自分の身を守れるのかは分からない。


その時、庭園に隠れていた筈の男達が ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて姿を現し始めた。

どうやら今から始まる遊びについて、前もって説明を受けている様だ。

彼らの態度から、やはり此方が不利となる負荷が掛けられると言う事がわかる。


ガフォリクスは瞬時に敵の戦闘力を把握していく。

間違いなく、庭園にいる男達は弱い。

ガフォリクスならば、一人で殲滅出来る位の強さしかない。


(あとは、ザガリル様から掛けられる負荷がどれ程なのか・・だな)


例え全拒否を掛けたとしても、強者であるザガリルから放たれた魔法の前では、なんの役にも立たない。

負荷は負荷として、この身に受けるであろう。


なんとしてでも部下だけは守りたいと、ガフォリクスは顔を上げる。


「それじゃあ、遊びの説明をするね。とっても簡単な遊びだから、よく聞いてね」


バルコニーの手摺りに座るルシエルは、ニッコリと可愛い笑顔を見せる。


「第四小隊さん達は、庭にいる人達の妨害にも負けずに僕の所にまで来られたら勝ち。倒されてしまったら負けだよ」


実にシンプルなルールである。

しかし、此処からルシエルの考えた遊びが追加される。


「ただし、第四小隊さん達は、動ける時間に制限があるんだ。僕が『だるまさんがころんだ』と言い終わるまでは自由に動く事が出来る。でも、言い終わってしまったら、次に僕が『だるまさんが・・』と言い始めるまでは、その場から動けなくなるよ」


そう。僕が考え付いた楽しいお遊びとは『ダルマさんが転んだ』だ。

楽しい日本の遊びでは、鬼が振り向いた時に動いている所を見られてしまったら捕まってしまうと言うルールだったが、そこは改良してある。


鬼である僕(ルシエル)が振り向いている間は、僕が掛ける魔法によって、第四小隊は一歩もその場から動けなくなる。動けるのは、僕が「ダルマさんが転んだ」と言っている間だけ。


それに引き換え、庭園に集まっている男達には、その縛りが無い。

第四小隊が動けなくなった所を、彼らは攻撃する事が出来ると言う仕組みである。


これならいくら弱い男達とはいえ、直ぐに負けてしまう事はないだろう。

ガフォリクス達もそれなりの防御魔法を展開する筈なので、直ぐにやられてしまう事もない。


なんて面白い遊びなのだろうか。

誘拐犯達も、ノリノリでやる気に満ちている。


(流石、俺が考えた遊びなだけあるな)


ニヤニヤとしたルシエルは、遠くに佇むガフォリクスを見る。

先程奴が、ルシエルを視界に捉えたと同時に見せた表情は傑作だった。


(あの顔だよ!あの顔が見たかったんだ)


周りに人がいなかったら腹を抱えて笑い転げる位、満足のいく顔だった。

とてもつまらなかった誘拐が、楽しいお遊びに変わった瞬間でもある。


(ガフォリクス。お前なら、もう気が付いているのだろ?この遊びが、タダでは帰れん生死を賭けた物となると言う事を・・)


ルシエルの魔力が木製の紅蓮に集中する。

周りから見れば、木製の紅蓮が魔力を発している様に見えているだろう。


木製の紅蓮がカァッと光を放ち、そして第四小隊に向かって放たれた魔力の筋が、弧を描きながら空を切る。


彼らに到達した魔力は、一人一人の足元の地面に魔法陣を描く。

そして強力な制限魔法が掛けられた。


魔法陣を見て驚き、その場から脱出しようとする軍隊員達であったが、魔法陣からは逃げられない。


一人静かにその場に佇んでいたガフォリクスは、ジッと瞳を瞑り続けている。


覚悟を決めたのであろうガフォリクスを見て、ルシエルが口角を上げた。

白くて長いウサギさんの耳がピラピラと風に靡き、遊びの始まりを促す。


(さあ、楽しい死合の始まりだ!)


パッと瞳を開いたガフォリクスは、鋭い瞳で誘拐犯達を捉えるのであった。



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