岡塚二郎の日常 1
岡塚二郎は目が覚めた。とりあえず時計を確認する。
(いつもより10分早い)
二郎は寝ているときに夢を見ているのか見ていないのか。とにかく目覚めて夢を憶えていることは珍しい。
(神様みたいなのって何だよ。しかし、ステファニアという女の子、コレもんでコレもんで可愛かったなぁ)
第三目線のナレーターは思った。
(おやじかテメェ。コレもんでコレもんでって、ジェスチャー交じりで。今日日オヤジでも使わん死語やぞ。)
二郎はステファニアの可愛さや、スタイルの良さ、そして安堂ののろけ話も相成って、興奮気味であった。
二郎は心の中で叫んだ。
(惚れてまうやろぉ~~~!)
ナレーター
(ちょろい奴だな。)
*
妄想を膨らませていたら丁度10分経っていた。二郎は気持ちを切り替えて、学校へ行く準備を始める。制服に着替えて1階に降り、母の作った朝食を食べる。ご飯に味噌汁。岡塚家は基本、和食である。食事を食べ終え、簡単に歯をブラッシングし、顔を洗い、弁当をかばんへ放り込み、学校へ向かう。普通の登校風景。すると突然、
「おっ早ようっ。今日も元気してる?」
クラスメートの坂本次美からのいきなりの朝の挨拶。しかし二郎も慣れたもので、
「お早う坂本。今日も元気だね。」
「私は元気が取り柄だからねー♪」
次美は二郎を抜き去り、行ってしまった。これも二郎にはいつもの事である。
二郎は学校に着き、靴を履き替え、教室へと入った。次美は他の女子たちとキャッキャと話を弾ませている。程なくして、ザ・リア充、安堂要も登校してきた。二郎と要は挨拶を交わし、これといってめぼしい話題がないので昨日の夢のことをちょっと盛り目に話してみる。
「お前、彼女いないからって想像力たくましいな」
「うっせぇ!」
「2次元嫁なのか?そうなのか?」
「ちゃんと立体だ!3Ⅾだ!夢の中だけだけど…」
(いい彼女作って見返してやる!)
ひとしきり騒いだらチャイムが鳴った。しんと静まり返って皆、席に着く。
「おっ早よー!よしよし今日もみんな行儀良いねぇ。朝のホームルーム始めるわよ♪」
二郎の担任の東条鈴子鶴の一声で、今日のホームルームが始まった。