怪しい神様と、異世界少女との出会いの夢 3
「まぁ、立ち話も何だし、座って話の続きをしようか」
と、スキカが言うと、二人とスキカの間に突如、立派なテーブルと、座り心地の良さそうな椅子が3脚出現した。テーブルはどっしりとして彫刻も施されており、二郎にはかなり立派な、高価なテーブルセットに思えた。ちなみにステファニアはまだプルプルしている。
「座って構いませんよ」
「ではお言葉に甘えまして」
先にスキカが椅子に腰掛け、スキカの勧めで椅子に座る二郎。こういう礼儀はしっかりしているのである。
二郎が着席すると、テーブルの上にティーカップと受け皿が3セット、テープルの中央にはティーポットが現われた。ティーカップには薄く赤みがかった液体が注がれていた。キスカが先にティーカップに口を付け、それを見計らって二郎もティーカップに口を付ける。
(うまい)
その液体は、例えるなら紅茶の様な飲み物であった。余程高級な茶葉を使っているのだろう、今まで二郎が飲んだ飲み物で一番美味かった。その頃にはステファニアも硬直が緩くなり、動きがギクシャクしているものの、席に着き、心を落ち着かせたいのかカップに口を付けた。
(何これ、美味しい)
ステファニアも味に満足しているようである。若干、二郎には緊張が緩んだかの様に見えた。それを見たスキカは動き出す。
「それではまず、そちらに授けたい物がある」
そう言うと、二郎、ステファニア、それぞれの前に赤く揺らぐ丸い玉が出現した。
「そち等は生き物である故、それぞれ1つずつ魂を持っているが、もう一つずつ魂を授けよう」
目の前の赤く揺らぐ丸い玉は魂らしい。
「その魂はそち等の魂と…そち等の言葉ではミラーリングと言ったか、適宜同期が図られる。同じ条件であれば、同じように考え、同じように行動する。記憶も共有する。いわば分身のようなものだ。我らの望み、君等に要求することにとって必要不可欠のものだ。受け取ってくれ。」
キスカは二郎たちにお願い事、ないしは命令をする為にこの場に呼んだようだ。
「君等は生き物である故眠りが必要だ。しかし、その魂を使えば、片一方が眠っている間でももう一方が起きていれば活動出来る。そういう為に使うものだ。」
キスカはそう語る。二郎たちはコクリと頷き了承する。さらに
「その魂を得て君等は24時間戦うことのできる心を持つ。そして二人にやってもらいたいことというのは…」
二人はゴクリと喉を鳴らす。
「そのミラーリングというか、心の同居というものを、まずはそちら二人の間でもやって貰いたいと思っている。どうだ?やってはくれぬか?」