怪しい神様と、異世界少女との出会いの夢 2
「誰…か。 君等の世界で言うところの… そうさなぁ、神 というのが最も適切であろう」
白を基調とした質素で、清潔そうな衣に身を包み、ほんの少し日に焼けた、いわゆる肌色の肌、暗めの黄緑色の髪。自称”神様”は、そういう印象の出で立ちの人物であった。生物的な威圧感はあるが、人の良さそうな印象を二郎は受けた。
「まぁ、事情を話す前に、もう一人、スペゲスを呼ぶ故少し待て」
スペゲスとはスペシャル・ゲスト。つまり、もう一人客を呼ぶらしい。
「ふむ。丁度良い。自主的なシエスタ中か。ほれ!」
自称”神様”はそう言うと、二郎の左隣2mほど離れた場所に、二郎と同い年くらいの少女が現われた。白を基調とした少しふわっとした感じのドレスに身を包み、少し赤みがかった茶色でポニーテールにした髪、神秘的な青い瞳をした美少女が突如現われた。しかし、二郎は本能的に、少女のある一点に目を奪われてしまった。
(胸、デカッ!)
少女の胸は、程良い膨らみを持っていた。思春期男子真っ盛りの二郎にとって、その魅力的な胸に視線が移るのを拒否できないのは、致し方ないのである。
「それでは長い付き合いになるであろう。自己紹介を。」
「うおあっ。け、県立駒畑高校一年の岡塚二郎です。よろしくお願いします。」
「すっ、ステファニア子爵家の三女のステファニア・フォン・カンデラよ。こちらこそよろしく。」
状況も分からぬまま、言われるがままに自己紹介をする少年と少女。共に、この男性から放たれる存在感からは、本能的に逆らえぬらしい。
「そして、我のことはスキカと呼ぶがいい。君等の世界での言葉で表すなら、神というのが適切であろう。」
ステファニアを呼んだので、改めて”神だ”と説明するスキカ。すると、ステファニアは顔を真っ赤にし、プルプルと震えてこう叫んだ。
「教会の石膏像とは似ても似つかぬ姿!もしや異教徒かッ!」
「まぁ待て。お主の世界に姿を現したのは千年も昔の話だ。我の正しき姿を知らぬのも無理は無かろう。しかも、お主の国の宗教は、ややこしい事に一神教だったな…」
「な!神は一人ではないと仰るのですか!」
勢いでが違うと叫んだものの、姿形に関しては一瞬で納得するステファニアだったが、顔を真っ青にし、神が二人以上いるらしいことのショックはかなりのインパクトであった様だ。
(神が複数人。我々が尊び心の支えとしてきた教えは何だったというのか…)
(ふむ。話が脱線気味だな。まぁ良い。長い付き合いになるのだ。ここでハッキリとしておく方が後々良かろう)
顔を青ざめたまま、プルプルと小刻みに震えてしばらく復帰しそうにもないステファニア。一方、二郎はというと…
(大きな川に神様が。大きな山にも神様が。万物色んな場所に神様がいるから罰が当たらないように自然は大切にしろって婆ちゃんが言ってたっけ。)
自分の祖母から昔からの教えを聞かされていた日本人、岡塚二郎にとっては、神様がいっぱいいるというのは知識通り。全く平常運転であった。