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翼の価値  作者: 八月十五
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空に手を伸ばす者たち

 実験から数日が経過していた。

「よしっ、これで完成!」

 ツバサが嬉しそうに声を上げる。

「完成したの? 例のアレ」

「ああ! 見てくれ!」

 そう言って例のジェットパックを見せてくるが、ミソラには何が変わったのかよく分からない。

「どう変わったの?」

「タンクの壁を分厚くして、タンクの容量も増やした。それに、削れるところは削った」

「見た目変わってないじゃん」

「……まあな」

 そこで会話が途切れる。

「すみませ~ん」

「あ~はいはい。何でしょうか?」

 倉庫の扉を開けると、見たことのない顔があった。

「え~と……どちら様でしょうか?」

「申し遅れました。私の名はタカメ。無翼人政府の長です」

「政府の……長!」

 有翼人にも無翼人にも政府はある。といっても、種族をまとめて総意を出すだけで、大きなことはしていないが。

「あなたに少しお話があります」

 チラリと後ろのミソラを見る。

「……申し訳ありませんが、そちらの有翼人の方は少し外して下さいませんか?」

「あんた……何者ーー」

「いえ、私は少し出ます。無翼人政府のお話しなのでしょう?」

 先述したように、基本的に有翼人と無翼人は仲が悪い。そのため、お互いの政治は、お互いに不干渉というのが決まりごとだ。それに、ミソラは有翼人政府に少しだが顔が利く。無翼人政府としては避けておいて損はない。

「……で、話ってのは?」

「はい。先日あなたの使用していたものを譲って頂けないでしょうか」

(何の事だ? ーー実験の事か! 何で知ってる!?)

「悪いが、あれは売り物じゃない。お引き取り願おう」

「そうですか。では、こういうのはどうでしょう?」

 懐から札束を取り出す。

「私はあなたに投資します。もし完成したら、完成品を五十機所望します。報酬はあなたの望むだけ」

「……考えとく」

 そう言って倉庫の中に引っ込む。だが、内心気が気ではなかった。

(いくらだアレ!? あんだけあれば間違いなく今より良いものができる!!)

「……分かった。だが、完成するかは分からないぞ?」

「構いません。ですが、今完成しているものだけでも譲って貰えませんか? もちろん代金はお支払いします」

「良いだろう。だが、高いぞ?」

「契約成立、ですね」

「ところで、これのお名前は?」

「そうだな……《鉄の翼》とかどうだ?」

「良い名前です」

 場所は変わって、有翼人政府拠点。そこに、五人の有翼人と、五人の無翼人が向かい合って座っていた。無翼人側の中の一人は、タカメだ。

「それで、無翼人ごときが我等有翼人政府と話がしたいとは、何事かね?」

「ちょっと、いいオモチャを手に入れたもので」

 そう言って、タカメはスッと手を上げる。すると、鉄の翼を装着した無翼人が十人現れた。

「無翼人風情が! 我々と殺し合おうと言うのか!!」

 そう言ってバサリと翼を羽ばたかせ、空へ向かう。鉄の翼を装着した無翼人部隊は後を追う。

「無翼人が我等に空中戦で勝てると思っているのか!」

 きりもみ飛行からの急上昇、急降下、自由自在だ。

 有翼人は今まで飛び続けてきた。年季が違う。例え、無翼人に本物の翼が生えたとしても、勝ち目はない。

 ならば、どう勝つか? 方法は二つある。戦略か、力押しかだ。

 戦略なら、地の利、準備、資金、装備などで相手を越えていればいい。そうやって、足りない分の実力差を埋める。

 力押しは、数や、力のある個人に頼って、一時の勢いやノリに頼って押しきる。

 だが、このとき無翼人はどちらもせずに有翼人に勝った。有翼人が油断していたというのもあるだろう。無翼人は武器を持っていて、有翼人は持っていなかったというのもあるだろう。だが、もしかしたら、鉄の翼は有翼人に勝っていたのかもしれない。

「何なんだこいつら!?」

 有翼人の後ろを取った無翼人が槍で突き刺す。

「我々より……速い!?」

 また後ろを取られ、一人、また一人と散っていく。

「我々無翼人は、有翼人に対して、宣戦布告する!」

 夜空の真ん中、月の中央で、タカメは高らかに言い放った。

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