これから
ツバサは考えていた。どうすれば向けられた銃口をずらせるのか。自分は身一つというわけではない。手には加速剣がある。近づけば一気に形勢逆転も可能だ。だが、それはシラクも分かっている。だからこの一発は確実に当てるつもりに違いない。
(なにか……気を反らす必要があるな)
辺りを見渡すが、使えそうなものはない。
(賭けだが……引き金が引かれる前にこっちが突っ込むしかないか)
シラクが引き金を引く指に力を込め、ツバサも加速剣を持つ手の感触を確かめる。その時だった。
「駄目ぇえええ!!」
飛び込んできたミソラがシラクを力一杯突き飛ばす。
「ミソラ!?」
ツバサの頭が状況を理解する前に、ミソラがツバサの手を引いて窓から飛び降りる。ツバサは慌てて漆黒の翼をはためかせ、空中を進む。
「どういうつもりだミソラ! 俺を助けたってことは、天使教を裏切るってことだぞ!?」
ツバサが叫び散らすが、ミソラは聞く耳を持たない。
「……全部聞いてた」
「なに?」
(それはシラクと話していた内容か? だとしたら、俺の正体を知っている……?)
「天使教はお前が熱心に仕えてきた場所だろう! もう戻れなくなるかも知れないんだぞ!」
「だから、それでいいって言ってるの!」
「……は?」
「私が天使教に入ったのはツバサと結ばれるため。でも、それの邪魔をするのなら、そんな組織にいる意味はない!」
「……え? は? なんて!?」
ツバサは突然の告白に呆然としている。
「取り敢えず私の家に行こう。あそこならまだ安全なはず」
かくして、ミソラ宅。
「流石だな、良い家住んでやがる」
ミソラは、天使教でも有翼人政府でもかなり上の立場にいる。それなりに金はあるのだろう。
「これからの作戦だが」
ツバサが切り出す。ミソラがツバサの逃亡に手を貸したことはすぐに広まるだろう。そうなれば、自宅など一番に調べられる。その前に策を練り、ここを出る必要があった。
「ミソラ、今から言う通りに動いてほしい」
「内容による」
「俺が暴れるから、お前が俺を殺せ」
「……は?」




