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41才の中学2年生  作者: sky-high
表と裏、天使と悪魔
44/47

ちゃんと家族サービスしろよ!

校内放送で、オレたちは大至急会議室に来るように、と言われ、会議室へと向かった。


中には担任の佐伯と学年主任の北川が待ち構えていた。


「お前らクリスマスイブに何をやったんだ?答えてみろ」


北川が問い詰めてきた。


「何って、オレたちだけで龍也の家でクリスマスパーティーをしただけですよ」


皆を代表して泰彦が答えた。


「ほう、クリスマスパーティーか。

そのクリスマスパーティーに酒は必要だったのか?金澤、お前と山本と中野の3人でコンビニでビール買ってたらしいじゃないか?」


ゲッ、何故それを知ってる?


「あなたたち、飲酒したみたいね。

お酒はハタチになってから飲むものよ!しかも中2の分際でかなりの量を購入したみたいね!」


誰だ、チクったのは!


「はぁ?酒?オレたちが酒なんて飲むワケねえだろ。

誰だそんなデマ流したのは?」


龍也はシラをきって、ごまかしていた。


「ウソ言わないの!あなたたちがコンビニでたくさんビール買うのを見た人がいるんだから!」



「ビール?誰だそんなテキトーな事言ったヤツは?そいつをここに連れてきてくれよ!」


龍也は逆ギレ気味に佐伯に聞いた。



「誰だっていいだろ!とにかくお前らがコンビニでビールを買ったって証言があるんだ!」


「だからそいつは誰なんだよ?変な言いがかりつけてんじゃねぇよ!」


ここまできたならシラをきるしかない。


「誰だっていいでしょ!」


「良くねえよ!」


オレは反論した。


「何で酒だと決めつけるんだよ!」


泰彦も逆ギレで強引にこの話を終わらせようとした。


とにかくバレたら大変だ、それに酒を買ったというが、飲んだところを見られてないはず。


ここは何がなんでもシラをきるしかない。


「酒買ったっていうけど、オレらが飲んだって証拠はあるのかよ、先生?」


証拠が無ければ、ただの憶測にしか過ぎない。オレは証拠を出せ、と詰め寄った。


「証拠だ?お前ら3人がコンビニで酒を買う事が何よりの証拠だろう。

それにお前と中野と金澤という組み合わせがあまりにも不自然だ!」


北川が声を荒げて言うが、それじゃあ理由にならない。


「誰と誰が一緒にコンビニに入ろうが関係ないだろ!

もしかしてそれが証拠ってやつ?

先生~、もう少し分かるような証拠を出してくれよ。

誰がそんな理由で納得するんだよ?」


全く頼りねえ学年主任だ!


「中野さん、あなた何でその場にいたの?普段あまり人と話をしないあなたがどうして男子だけの集まりに参加したの?」


佐伯はデザイアーに的を絞って攻めてきた。


「それはオレが誘ったんだよ。デザイアーとは席が隣でよく話すから、龍也の家でクリスマスパーティーやらないか?って誘ったんだよ」


「あなたには聞いてないの!私は中野さんに聞いてるの!中野さん、どうなの?」


佐伯はデザイアーを徹底的に問い詰めた。


「…あの、私山本くんからクリスマスイブの日に誘われたけど、どこの店も満席で入る所が無くて…そんな時に金澤くんにバッタリ会って、オレの家でクリスマスパーティーやらないか?って言われて、それで…」


デザイアーは酒を飲んだ後の事を全く覚えてない。


そりゃ一口二口飲んだだけで、あんなにも酒乱になるとは思いもよらなかった。


「じゃあ何で金澤くんの家でクリスマスパーティーやるのにコンビニでお酒なんて買ったの?」


佐伯はデザイアーから、ホントの事を聞き出そうとするが、デザイアーがホントの事を言うはずがない。


「だからビール買ってこいって母ちゃんに頼まれたんだよ!何ならオレの母ちゃんに聞いてみりゃいいだろ!」


龍也が横から口をはさんできた。


「酒がどうのこうの言うより、後2年で教師辞める人に言われたかないね~」


やべっ、思わず佐伯の未来の事を口ばしてしまった。


「はぁ?佐伯先生が後2年で教師を辞める?何バカな事言ってんだ、お前は!」


北川が間に割って入ってきた。


ついでだ、この際、北川の未来もぶちまけてやれ!


「先生、そんな事よりも家庭を大事にして下さいよ。

定年になったら奥さんに離婚を迫られて熟年離婚するはめになるんだからw」


北川は定年を機に、それまで過ごしてきた奥さんから離婚を申し出され、定年後は淋しい一人暮らしを送る予定だ。


「何?お前教師をバカにしてるのか!」


「バカにしてねえよ、ホントの事を言っただけだよ。家庭を省みず、教師として真面目にやってたつもりだけど、たまには家族サービスしないとホントに離婚する事になるよ?いいの、それで?」


オレの言葉で全員が爆笑した。


「山本、ふざけるのもいい加減にしろ!」


バッチーーーーん!


「痛っえ~っ!何もビンタする事ねえだろ、おい!」


オレは北川に思いっきりビンタを食らった…


これでビンタ食らうの何度目だ?


しかし、問題の飲酒の件はうやむやになり、証拠不十分として、オレたちはグレーなまま無罪放免となった。


それにしても、中2に戻ってから、何発ビンタ食らえばいいのやら…



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