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41才の中学2年生  作者: sky-high
謎の犬、ポメポメ夫
32/47

ジジイが用務員だと?

あの日以来、龍也は変わった。

気さくに誰とも話すようになり、よく笑うようにもなった。


ただすぐにはヤンキー気質が完全に抜けきる事は出来ず、たまに冗談めいて、威嚇するクセだけはまだ治っていない。


でも、この調子でいけば、龍也はクラスの人気者として、皆を引っ張る中心的な人物として、評価は高まるだろう。


そんなある日の休み時間に、オレは次の英語の授業に備えて机の中から教科書とノートを取り出そうとした。


すると、中からガサガサと紙切れのような物が入っていて、オレはその紙切れを出してみた。


グシャグシャになった、破れた一片のノートには、ミミズが這ったような汚い字が書きなぐってあった。


『山本智さん(^^)

金澤龍也さんを見事更正させましたね(^^)

これで一つ得を積みましたね(^^)

貴女はこの調子でどんどん特を積んで、現代に戻れるよう、努力してください(^^)

dy 宇棚ひろし』


字は汚いわ、徳の字は違うわで、読みづらい!


何だ、貴女はって?いつからオレは女になったんだ?


おまけに最後にdyってなんだよ?byの間違いだろ!


dとbの区別すらつかないのか、あのバカは…


ん?背中に何か視線を感じる。


振り向くと、茶坊主が親指を立てて、満面の笑みを見せている。


オレはあの満面の笑みを見て、腹が立つだけだ!


学校に行けば、茶坊主が影からオレを見張ってるし、ウチに帰ればポメ夫は家族の一員として、犬のクセに会話に参加してきやがる。


しかも毎朝ポメ夫に起こされ、眠い目をこすりながら散歩に連れてっている。

こんなんで徳が積めるってのか?


【今日は明日の為に予習をやらないといけないんだポメ】


まぁ、何かと口うるさい犬だ。


バカと犬に挟まれ、オレはやや憂鬱な日々を送っていた。


ジジイの時の方がまだマシだったような…


あ、そう言えばジジイはどうなったんだろうか?


仙人の資格を剥奪されたらしいが、それじゃただの老人だ。


まぁ、亀仙人みたいな胡散臭い格好したジジイだから、今ごろは野垂れ死んでるか、変な格好してるから、警察に職務質問され、留置場にでもいるんだろうな、あの調子だと。



そんな事を休憩時間に、自分の席で考えていたら、茶坊主が突然オレの真横に来て、ボソッと耳打ちした。


「東方仙人さんは仙人の資格を剥奪され、今はこの学校の用務員として働いてます(^^)」


ウソっ!マジで?


【キーンコーンカーンコーン】


あぁ、なんてタイミングが悪くチャイムが鳴るんだよ!


オレはジジイがホントに用務員として働いているのか今すぐにでも確認したい!


次の授業はアマゾネスの英語だろ?


どうせまた、何かにつけて、オレを指し、黒板に書かれている英文を訳せ、とか言うに違いない。


ガラガラっと教室のドアが開き、ブラウスのボタンがはちきれそうな飛び出たロケットオッパイを強調して、アマゾネスは教室に入った途端、


「先生、オレなんかスゲー腹痛い…保健室行っていい?」


いかにも苦しそうに顔を歪め、小芝居をした。


「えーっ、大丈夫なの?早く保健室に行きなさい!」


オレは辛そうによろよろと教室のドアを開け、廊下に出た。


その瞬間、ダッシュで一階の用務員室へ向かった。


ジジイの仕事ぶりを見る為だ。

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