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41才の中学2年生  作者: sky-high
謎の犬、ポメポメ夫
29/47

喋れる犬、ポメポメ夫

オレ「ただいま~…」


オレはこの犬を抱え、こっそりと玄関のドアを開けた。


ウチには誰もいなく、とりあえずホッとした。


そして部屋に入り、犬をそこら辺に放し飼いにして、机に向かい、ノートで色々な名前を考えては書き込んでいた。


大体どんな名前がいいんだよ、この犬が話せればいいんだが…


オレはノートに、ムサシ、

コジロー、ハヤト、ナッツ、キッド等々思い付いた名前を書き連ねていた。


ふと犬のいる方向に目をやると、部屋の隅っこで糞をしていた。


「わっ、バカ!こんなとこでウンコするな!」


オレはティッシュで糞を取り、ゴミ箱に捨てようと思ったが、糞の臭いで犬がいる事が家族にバレたらどうしよう、そう思い、スーパーの袋の中にティッシュを入れ、ガッチリと結んでゴミ箱に捨てた。


そうなんだよな、犬を飼うって事は糞や尿のする場所を覚えさせなきゃならない。


とは言え、家族で内緒に部屋で飼うなんて無理だ!


あの茶坊主、めんどくせ~生き物をよこしやがって。



オレは一時間程、ありとあらゆる名前を書き、犬の目の前で一通り名前を出してみた。


「ムサシ」


【ガゥ~…】


ダメか。じゃあこれはどうだ?


「コジロー」


【グルルル~】


今にも襲いかかりそうな憎たらしい顔して吠えた。


「ハヤト」


【ワンワンワンワン!】


「ヤマト」


【ガルルル~っ!】


憎たらしい顔で吠えやがる。


「ナッツ」


【グゥ~っ】


腹の底から唸るような声を上げた。これもダメか…


「アキラ」


【…】


無言で後ろ足で身体をぼりぼり掻いている。



「あぁ~っめんどくせ~っ!何ならいいんだよ、このバカ犬が!」


【ギャンギャン、ガルルル~っ!】


ガブッ!言葉が分かるのか、急に襲いかかり、手を噛まれた。



「痛ぇ~っ!噛みつきやがった、このアホが!」


オレの右腕に歯形がくっきりと残っている。



何だかこの犬を見ていると、柴夫を思い出す。


あの犬もどういうワケか、オレだけには懐かなかった。



柴犬だから柴夫、安直すぎる名前が気に入らなかったのだろうか。


よく見ると、このポメラニアンも毛がふさふさしているが、短くカットすると、柴犬に見えなくもない。となると、シバオでどうだろうか。


「よし、これならどうだ?シバオ!」


【ギャルルル~っ!】


余計威嚇してきた。


あぁ~っ!わかんねぇよ!


オレはヤケクソになって、ポスターの裏に五十音順に書いて、このアホ犬の前に出した。


「おい、お前どんな名前なら気に入るんだ?ここに書いてあるから、その文字を指せ!」


…んな事言っても分からないよな、犬だし。



だが、この犬は興味深く羅列している文字を見て、前足を【ぽ】と書いてある文字の上にペタンと置いた。


ぽ?何だぽって?犬はしばらく考え込んでいるかのようにポスターの周りをウロウロしながら、次に【め】の所に前足を置いた。


ぽめ?更にウロウロが激しくなり、また【ぽ】と【め】に前足を置いた。


ぽめぽめ?何だそのマヌケな名前は?


そしてジーっと文字を見つめ、最後に【お】の所に前足を置いた。


ぽめぽめお。これじゃ野比のび太と変わらんじゃないか。


オレはぽめぽめおをポメポメ夫に変換して、犬に見せた。



「どうだ、ポメポメ夫。これならいいだろ?」


ノートに書いた名前を見て、嬉しそうに走り回り、キャンキャン吠えた。


ポメポメ夫ねぇ…


【この名前が一番しっくりくるポメ】



…何だ~っ!?喋った?今確かに喋ったよな?


「おい、お前喋れるのか?」


オレはポメポメ夫を抱え、もう一度聞いてみた。


【喋れるポメ】


…何なんだ、この犬は?


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