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41才の中学2年生  作者: sky-high
1990年だと?
19/47

ビンタ食らった!

【何て事をしてくれたんだ、お主は!ワシャこの杖が無いと…あぁ、どうすりゃいいんじゃワシは…】



ヘナヘナと力尽きてしまったかのように、ジジイはへたりこんで、絶望を感じている。

オレはあの杖を焼却炉に投げ、燃やしてしまった。


「へっへ~んだ、これでもうテメーはオレの邪魔は出来ないなw

杖の無え仙人なんて、ただのジジイだ!もう2度と現れるなよ、シッシッ!」


そしてオレは頭を抱えて途方にくれているジジイを尻目に教室へ戻りながら、力ずくでこの忌々しい輪っかを外し、窓から放り投げた。


さぁ~て、これからが本格的な中2ライフだ!


ガラガラガラ…


「山本っ!何してたんだ!もうとっくに授業は始まってんだぞ!」


ゲッ!もう始まってるじゃないか!


しかもオレの苦手な数学だ…

そしてこの先生の名は佐竹。


とにかくうるせー先生だった。


「いや~っ、ちょっと笑っていいともでタモリから《明日来てくれるかな?》って電話きて《いいとも!》って返事したらこんな時間になっちゃって…


と軽くボケたつもりだか、この先生には全く通用しなかった…


「何ふざけた事言ってんだ、お前はっ!」


バシーン!


出席簿で頭を叩かれた…


痛えっ!


「さっさと席に着け!このバカたれが!」


…なんだよ、皆してバカバカって!


今日だけで何回バカって言われてんだ、オレは?


『…くっ、笑っていいともだとよ』


『何言ってんだアイツ』


『よく平気でああいう事言えるよな』


ったく外野どももヒソヒソ何か言いやがって…


まぁ、いい。これからが楽しい中2時代の始まりだ。


で、今日の授業は何だ、ん?

方程式…


方程式ねぇ、x=y×(5+7)?

んん、んー?


…オレ身なりは中2だけど、頭の中は41才だよな、確か?


で、一応大学も卒業してちゃんとした会社に就職したはずだよな…?


て、ことはそこら辺の中2よりかは頭は良いはずなんだが…


こんな授業習ったっけ?


…………ヤベーよ、全然解らねえよ!


中2ってこんな高度な数学の授業だっけ?


どうしよう、まるっきり解らん。


とりあえず教科書とノートを広げた。


パラパラマンガしか書いてないじゃないか…


ノートには何故かドラえもんの似顔絵が書いてある。


あぁ、成る程、オレこの頃、相当なバカだったからな、授業なんざ全く聞いてなかったから、落書きしかしてなかったもんなぁ、ハッハッハッハッハ…


まぁいい、今日は中2に戻ってまだ初日だ、明日から本気出そう、そうしよう!


だが、それよりもまだクラス全員の顔と名前が一致してないぞ、まず後ろにいる太目の女子!

コイツなんて名前だっけ?


それと列を挟んで窓際に座ってる冴えない面した男子、アイツの名前も思い出せない…


授業云々よりも、まずはクラスの生徒全員の名前と顔を思い出すのが先だな、こりゃ…


しかし授業ってのも退屈だな、何だか眠くなってくるし、黒板で先生が必死に何書いてるか解らんけど、段々と睡魔が…


あぁ、そうだ。オレ郊外にマイホーム買って毎日6時起きだからなぁ、おまけに昨日は残業で帰りが遅くなったし、寝るなというのが無理ってもんだ。


…いや、ホントマジで眠い…


眠い…( ̄q ̄)zzz


「…くん、山本くん、起きて…」


「ん?何だもう終電か…」


オレはデザイアー、いや恵に横からシャーペンでつつかれて目を覚ました。


「まさかオレの目の前で堂々とイビキかいて寝るとはな…いい度胸してるじゃないか、山本よ、なぁおい」



ゲッ!ヤベッ寝てた?オレ爆睡してた?マジで?


目の前には佐竹が怒りに満ちた顔で仁王立ちしている。


一瞬とはいえ、オレは爆睡していた、しかもイビキをかいて。


「お前、よくこんな真ん前の席で寝るもんだな、おい。

さっさと起きろ、このバカ者がっ!!」


「ギャーッ!いでで、痛ぇ~っ!」


佐竹はオレの耳を引っ張り、鼓膜が破れるんじゃないか、という程、大きな声で怒鳴った。


あまりの声の大きさに耳の中がキーンと鳴っている。


「は、はいすいません。何せ昨日残業して帰りが遅かったもんでつい…」


あっ!やべっ、思わず昨日の残業の事を言ってしまった!


「残業だ?お前はいつからサラリーマンになったつもりだ、いつまでも寝惚けてんじゃないっ!」



パァーン!と乾いた音が教室内に響いた。


「痛ぇ~っ!」


まだ教師が生徒に手を振るう時代だ、オレは思いっきりビンタを食らい、頬に手の跡がクッキリと残っていた。


中2に戻って初日からビンタ食らうとは、前途多難な中学生活だな…




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