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EX-59 AF「先週リーネ様とお話をした地元プレイヤーの方に…」

EX-58の続きです。

 うう、おいしいよー!

 ほっぺたが落ちるって、まさにこのことだよ!実際には落ちないけど。

 おいしい、おいしい。


 大浴場から戻ってきたら、部屋に夕食が用意されていた。

 彩り豊かな和食だったけど、特にエビ料理が最高!こないだのロスのロブスターとはまた違う味わいで。当たり前か。


 はー、私だけ、こんなにおいしい料理食べていいのかなあ。

 お父さんとお母さん、今晩は美樹の手料理かな?あ、リーネとしてのお父さんとお母さんはどうなんだろ。ああ、こんなことで両親(しかも、双方)を思い浮かべるなんて、私って変なところでお子様のままなんだよなあ…。



「リーネ、今は休暇だそうだよ。ああ、『佐藤春香』の方のリーネだがな」

「そうみたいね。こうしてふたりして会うなら、声をかけた方が良かったかしら」

「実くんが言うには、ひとり旅だそうだよ。忙しい身だ、そっとしておくべきだろう」

「私達も、今日は時間があまりとれないからってフィッシュ&チップス、ですしね」

「まあ、明日は少し時間が取れるだろう。だから…」



「はい、できましたよ!春香も大好物の、我が家特製の料理です!」

「私も手伝いましたよ。さあさあ、田中さん、高橋さん、どんどん食べて!」

「…これが、噂の『丸焼き』料理…」

「み、実さん、どうしよう…」



「…(ずずずー)」

「…(ずずー)」

「…(もぐもぐ)」


「…あの、お爺様、なぜ今日はカップラーメンなんですか?」

「ん?たまにはいいではないか。執事達も今回は三連休をそのまま休暇としたからな」

「いや、これならコンビニ弁当の方が…」



「お兄ちゃんって、相変わらず『佐藤春香情報』の番組、観ないんだ。なんで?」

「なんでって…。以前も言わなかったかな、なんか違うんだよ、実際の彼女と」

「違うって?」

「実績とか成果とかは事実だけど、それをどうこうって騒ぎ立てるのがさ」

「それって、ずっと門番として見ていたから?」

「…かもしれない。FWOで初討伐が全体メッセージで流れた時も、彼女は彼女だった」

「なるほど…こういうところに、惹かれたのかな」

「なんの話だ?」

「別にー」



「凛、お前の元部下が会いたいと…」

「すぴー」

「…日本の三連休中、ずっと寝ているつもりだろうか…」



 はー、食べた食べた。

 お茶を淹れて、ずずずっと飲む。ふー。


「…やることが、ないなあ」


 HS-01ぷりーず。ダメか。旅館に無茶振りはすまい。


 しかたがないから、部屋に備え付けのTVをつける。

 全国チャンネルは嫌な予感しかしないから、地元のローカルチャンネルにする。


『本日のFWO情報コーナー!今回は、先週リーネ様と少しお話をしたという、地元プレイヤーの方にインタビューしてきました!早速』


 そっ切。



 TVがまるであてにならないため、他に何かできないかと館内案内を見る。

 あ、ゲームコーナーがあるんだ。あと、お土産屋。

 お土産屋はチェックアウト前後に寄るとして、今晩はゲームコーナーに行ってみよう。


 てくてく。


「あ、これ、昔見たことがある…」


 ビデオゲーム数台に、卓球台。あとは、自動販売機。卓球台はある家族が使っている。

 いやしかし、ビデオゲームは、これ、何十年前?リーネの時で既に古過ぎ感満載だったよ?


「お姉ちゃん!一緒に卓球やらない?」

「パパとママ、弱くてー!」

「こら!…ごめんね。でも、もしよければ…」


 よーし、やっちゃうよー!


 …


「お姉ちゃん、強すぎ」

「…ごめん」


 うっかり『攻略』してしまった。変だなー、『佐藤春香』のロールプレイはやってないはずなんだけど。まあ、素の私も割と攻略厨だからこそ『リーネ』アバターが生まれたって話はあるな。


「おう、嬢ちゃん、対戦やらねえか?誰も相手いなくてよう」

「えっと、この手のゲームはあまりやったことないので、お相手が務まるかどうか…」

「やってりゃわかるって!金なら俺らが出すぜ!」


 よーし、やっちゃうよー!


 …


「嬢ちゃん、ホントに今日、このゲーム初めてだったのかよ?」

「そのはずなんですけど…。あ、お金は払います」


 またやってしまった…。


 まあ、いっか。楽しかったし。



 部屋に戻ったら、夕食の片付けが済んで、布団が敷かれていた。至れり尽くせりだな。旅館ってみんなこうだったっけ?ここだけかな。


 少し早いけど、寝ることにする。頭も体も適度に動かしたし、よく眠れるだろう。

 電気を消して、布団に入る。

 遠くから、心地良い波の音が聞こえる。


 おやすみなさい。

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