EX-53 AF「カッコつけて素性を明かさなきゃよかったー!!」
色ボケ回、早速いきまーす。
カランカラン
「いらっしゃいませ!…あれ?誠くん!」
「…え、り、リーネ、さん!?」
喫茶店で働いていたら、誠くんがやってきた。こないだデートした…うふふふふふ、ああうん、一緒にショッピングモールに行った、須藤誠くんだ。
「え、あれ、今日、休日じゃ…?」
「ああ、うん。大学の講義が休講になってね、マスターと話して、今日も入ることにしたの」
本当は、某国首脳とVRでちょっとお話しておきたかったんだけど、実くんに『やれやれ』という顔を (釣り師アバター@『オフィス』で)されて、まあ、必須じゃなかったよねこれ、ということでやめて、こっちにしたのだ。そしたら、まだちょっと納得いかない顔を実くんにされた。いいの、こっちはゆったりできるから。スローライフだよ!
「僕は、家族でこっちのレストランで食事するために、仕事帰りの両親とここで待ち合わせで…」
そうなんだ。まあ、ここよく待ち合わせに使われるよね。私もよく使うし。
…おや?後ろに女の子がいる。え、もしかして彼女!?
えー、いるんなら、こないだ私がフリしなくたってよかったじゃーん。
なーんだー、いるんじゃーん…じゃーん…じゃーん…。
「え、お兄ちゃん、『リーネ嬢』と知り合いなの!?」
妹さんだった。そういや、小6って言ってたっけ。
うわー、でも私より年上に見えるよ!?ああうん、私がまだまだなのですね。うなれ、私の『現界』能力!一気に3年分ほど!さすがに無茶振りか。
「こんにちは。リーネでいいよ。あなたの名前は?」
「は、はい、愛といいます!初めまして!」
あら、礼儀正しい。生意気とか言ってなかった?
「お前、何カッコつけてんだ?普段はもっと…」
「うっさい!」
がこっ
「うっ…!」
めぐみちゃん の ひじてつ が くりてぃかるひっと!【対象】まことくん
「リーネさんの前で、余計なこと言わないでよ…。あの、TVで見ました!キレイですね!」
「あ、う、うん、ありがとう…」
えーと、誠くんがまだうごめいているんですが。
まだ、うごめいているんですが。
うごめいて…。
「ちょ、ちょっと誠くん!?大丈夫なの!?」
「だ、だいじょ…ばない」
がくっ
「誠くーん!」
「お兄ちゃーん!」
いや、愛ちゃん、あなたがやったんでしょ?
えーと…しょうがないなあ。
「誠くん、少し、動かないで」
「…え?」
「【連鎖発動】ヒール」
ぽわーっと光が…出ないけど (おい)、誠くんには少し熱っぽく感じるはずだ。
「…あ、あれ、痛く、ない?」
「うん、うまくいった」
うん、うまくいった。実は初めて『現界』させてみたんだけど。
FWOでケインが使う回復魔法陣のイメージで『現界』してみた、治癒効果。よくあるよね、異世界転移・転生モノで『現代医学の基礎知識で優れた魔法を』うんぬんかんぬんってやつ。あれの『現界』バージョンだ。『認識阻害』とは異なる物理現界だから、魔法陣発動に見立ててみたわけだ。
「え、な、なに、今の?ま、魔法?」
んー、魔法じゃないんだよ、愛ちゃん。『現界』能力は、魂に刻まれた…まあいいや、それよりも。
「それよりも、誠くんに言うことは?」
「え?えっと…」
「ん?」
「…ごめんなさい、お兄ちゃん」
「あ、う、うん…」
よしよし。
「じゃあ、御両親が来るまでね。ブレンドでいい?」
「は、はい、ブレンド2つです、リーネさん!」
「…誠くん、私のことは」
ちょっと、顔を近づける。
「リーネ、でいいよ。あの時みたいに、ね」
「え、あ、うん、わかり…わかったよ、リーネ」
「よろしい」
んふふふふ、やっぱりかわいいなあ。
「あの…リーネ、さん、お兄ちゃんと、どういう関係なんですか…?」
「んー、お友達だよー。私の服を選んでもらったりとか、ね」
「え、えええ、もしかして、か、彼女!?」
あははは…はあ。
うん、彼女のフリね、フリをしたことが、あっただけだよ。はあ。
「違うよ。たまたま、選んでもらったことがあるだけ。だから、友達」
「そ、そうですか…。えっと、それと、あの」
「ん?」
「さっきの、魔法みたい…なのは?」
ああ、うん…うん…。
「誠くん、私のこと、愛ちゃんにも喋っていいかな?」
「えっと…いいと、思う。誰かに話したところで、信じてもらえないだろうから」
「そんなものなの?まあ、いっか。それじゃあ」
パチン
「なに?なにが…あ、あああ、あああああああ!?」
あう、『荒くれ者』達のひとりと同じ反応。ぐっすん。
「り、り、り…!」
「ん?リーネだよ?」
「リーネさんでケインさんでハルカお姉様で佐藤春香さん!サイン下さい!」
「ごめん、FWOアバターについてはサインできないの。『佐藤春香』だけでいい?」
「それでいいです!下さい!」
いいのか。
でも、『ハルカ』だけお姉様なのはなぜに?
「こいつ、NPCのフリしてたことがあって…」
…
……
………
ぎゃー!あの時の、あの時の花屋プレイヤー!?
え、でも愛ちゃん、小6だよね?あの業界2位だったVRゲームで『ハルカ』やってたの、数年前だよ!?
「はい!小学生になったばかりの頃に、お母さんのヘッドセット使って試したことがあったんです。その時からのファンです!」
カッコつけて素性を明かさなきゃよかったー!!
そろそろタイトルを『【スピンオフ】魔法少女アドベント・リーネ』とかにするべきかな?語呂が悪いか。ていうか、誠くんがレギュラー化。マジかよ。