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EX-42 IF「我らはSOE。世界を掌握した」

お気づきかもしませんが、本編を含めたIF回の内容は、形を変えて正史(AF)に順次取り込んでいます。今回もたぶん…。

 SOE。"Stay on Earth"、『地球に留まれ』という崇高な目的のために活動する選び抜かれた構成員によって組織されている。今や搾取側に回った『裏切者』達を地上に追い落とし、我らの傘下に置く。そしてあらためて、この地球を楽園として統合し、統治していくのだ―――


「月面は掌握した。我ら『別働隊』が基盤ネットワークを支配するに至った」

「火星公社も、総裁以下管理部署および主要施設を抑えた。VR活用部門『ミラージュ』の成果である」

「木星の衛星軌道の資源運搬ルートも配下に置いた。『落日の夜』による反重力装置撹乱は順調だった」

「甘い汁を吸えなくなった裏切者達は弱体化した。『ロールプレイ戦術班』が地上の主要産業の幹部に成り代わるのは容易かった」

「最後に我々『悠久ガーデン』が各国政府の政治活動を阻害し、陥落させた」


 あとは、我らの総力をもって地球統一政府を樹立し、永遠の楽園を地上に顕現する。我らSOEは地球人類の英雄としていつまでも語り継がれるのだ!


「それにしても、3年前の佐藤春香の突然の死によって、我らの望みは早期に実現されたが…」

「彼女がいなくなったことで、我々の力も旧態依然だな…」

「残された膨大な技術資産を手分けして分析してはいるが、不明な部分が多すぎる…」


 佐藤春香は、あっけなく死んだ。あのかわいらしくも畏怖を覚える存在は、痴情のもつれで命を散らした。なんでも、包丁で一突きだったそうだ。詳しい真相はわからない。刺した本人が、相方と無理心中してしまったのだから。


「渡辺 凛はどうなのだ?彼女の『現界』能力は役に立ちそうなのか?」

「『ミラージュ』自ら、彼女自身が開発した詐欺システムを用いて操ろうとしたのだが、『世界征服っていいわねー』という幻想に囚われたままで…」

「佐藤春香とは別の意味で、利用できそうにないな…」


 もう、あの神の如き力のおこぼれには与れない。そう、割り切るしかないだろう。


「では、そろそろ地球統一政府樹立に向けて動き出そう。まず決めなければならないのは、誰が行政府総統となるべきかだ。ここは当然、各国政府を抑えた『悠久ガーデン』の代表である私かと思うのだが、どうかね?」

「何を言う!地球を実質的に支配しているのは『ロールプレイ戦術班』だ!その第一班長である私こそが総統に相応しい!」

「ふん、疑似阻害しか能がない連中や烏合の衆に地球人類をまとめることができるのかね?地球を含む基盤ネットワークを掌握している『別働隊』隊長の私こそがその任に相応しい」

「大半が引きこもりの連中に何ができる。まあ、能がない烏合の衆というのには賛同するがね。有り余る資源を保有する我ら『落日の夜』が統括するのが筋だろう」

「木星資源が主力のお前達は『裏切者』に近いのではないのか?仮想世界技術の時代を担えるのは『ミラージュ』しかないだろうが」


 やいのやいの。


「よろしい、ならば戦争だ!」

「望むところよ!」

「目にもの見せてくれる!」

「吠えづらかくなよ!」

「宇宙の塵となれ!」


 こうして、もともとまとまりのなかったSOEは激しい内部抗争を繰り返すようになり、地球人類の半分を道連れに壊滅した。



 百年後。


「あれ?前世の記憶を保ったまま『現界』しちゃった。まあいいや、この時代は…うえ、文明が近代化前に退行しちゃってる」


 機械類もあまり残ってないから記録とかが見つからないが、あのSOEがバカやったのは間違いないだろう。


「少しずつ技術供与していくとしても、今世で仮想世界までもっていくのは厳しいかなあ。来世もなんとか記憶を保てればいいけど。それとも、肉体制御して長生きするかな?この時代、個人認証もなくなってるし。ロールプレイ大活躍だよ!」


 方針を決めた『私』は、しかし同時に反省もする。


「ったく、実くんってば、ちょっと美樹とあーんなことやこーんなことしていちゃいちゃしたの見ただけで逆上して…。ああいや、反省しよう。下に恐ろしきは男の嫉妬だよ、ほんと…」

いや、だからって最後の反省ネタを取り込むのはちょっとねえ。いくら『エキストラ』がR15で残酷表現ありだからって。ねえ。

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