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プロローグ

 夜の風はやさしく私の頬を撫で、そのまま吹き抜けて足元の草花をそっと揺らす。


 私は大きな平たい一枚岩にゆっくりと腰をおろして夜空を見上げる。


 そこには満天の星が瞬いているけれど、私が知っている星座はひとつもない。


 父さんが連れて行ってくれた天文台で、初めて見た天の川に感動した小学二年生の夏休みのことを思い出す。



「ねぇ父さん。この星のどこかに私たちみたいに星空を見ている人っているのかな?」


「そうだな。きっとこの中のどこかに、お前と同じことを言いながら星空を見ている子がいると思うよ」



 そう答えてくれた父さんの言葉に感動して、夢中で星空を眺め続けた思い出がとても懐かしい。


 ここは地球からどれくらい遠く離れているのだろう……。


 この輝いている星のどれかが太陽なのかな……。


 地球からここが見えたりするのかな……。


 父さんは元気にしているかな……。


 きっと父さんのことだから必死になって私たちのことを探しているんだろうな……。


 心配性な父さんのことを想うと目元が熱くなり、やがてひと筋の涙が頬を伝り地面に落ちる。



 今すぐには無理かもしれないけれど必ず生きて帰るからね。


 父さんに再会できたら伝えたいことが山ほどあるんだ。



 父さんの言った通り、星空を見上げている人たちが暮らす星が地球以外にあるってことを。


 その星には、人間以外の知性と文明を持つ種族がいて共存しているってことを。


 その空には、二つの太陽と昼でも輝き続ける星があるってことを。


 その世界には、おとぎ話に出てくるような竜がいたり魔法の存在だってあることを。



 でも、一番伝えたいことは「ただいま」と言うこと。


 本当に地球へ帰ることができるかな……。


 そんな日が一日でも早く訪れるといいな……。

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