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疫病神

 宿屋の一室で俺は念話符を起動する。相手はルイだ。



「思ったよりお早い連絡だね。嬉しいよ、どうしたのかい?」



「火縄銃を作って、隣国に侵略を仕掛けてきている馬鹿な国がある」



「実に興味深いね。当然異世界人絡みって事か」



「ああ、そうなる。火縄銃は射程や連射性能でこそ、今の銃に劣るが、弾はでかい。従って当たれば威力は現代の銃と比べて遜色は無い。まぁ、なんだ。ただ注意を促したかっただけだ」




「君がどうにかすれば良いんじゃないの?」



「百害あって一利も無い事はやらない主義でね」



「一利くらいはあるさ。少なくとも英雄にはなれるよ?」



「くだらない。英雄ってのは碌な死に方が出来ないんだぜ」



「全くだ、まぁ僕に連絡を入れる時点で、そこが侵略されて、更に進んでこっちに来る可能性の示唆なんだろうからね」



 多分このままならそうなるだろう。英雄君の頑張りでは無理だろう。



「そんな所だ、対策を取るなり、移動するなり、好きにしてくれ」



「僕は迎撃するよ。来たらだけどね」



 どうやら侵略はこの周囲までで終わりそうだ。



 それじゃと念話符を停止する。



 本格的に逃げますか。戦わないのかって声も聞こえてきそうだが、答えはノーだ。まず利が無い。



 勝つのは容易い。空から的当をするだけなのだから。それをやった後、俺はどう見られるか、当然脅威の一つだ。しかも軍に匹敵する脅威。



 最終的に権力者は、間違いなく排除にくるだろう。こんなもの何を貰っても割に合わない。



 さっさと出るか。



 さっきから下が騒がしい。食堂で酔っ払いでも暴れたのだろうか?



 金も払ってあるので下に下りて、騒ぎに巻き込まれないよう、裏口から出ようとしたその時。



 聞き覚えのある声が「彼です」声の主は真君だ。そろそろ撃ち殺しても俺は許されるんじゃなかろうか?



 面倒なのでさっさと裏口から出ると、そこは既に囲まれていた。そりゃ騒ぎにもなるわな。



 囲んでいるのは、如何にも正規兵。これから真は疫病神と呼ぼうと思う。



「ダイスさん、昨日ぶりですね」



「やぁ疫病神、おれは二度とそのふざけた面は拝みたくなかったよ。で、これはどういう事だ?殺し合いに来たと俺は受け取ったが?」




「そんなつもりはないですよ? この人数を殺すつもりなんですか? やはり強い人なんですね」



「いいや、俺はこの人数には勝てんよ。お前一人だけでも道連れに出来れば御の字だ」




「今回は交渉に来ました。と言ってもやるのはここいら一帯の領主のアーサーさんですがね」



 後ろにいた黒髪の青年を指差した。



 鑑定をするとしようかね。



 中村 円・・・女




 女?・・・いやいやマドカってアーサーと一文字もかぶらないよね? 類は友を呼ぶか・・・やべっ笑いが出そう。




「貴方と取引がしたい」



 普通に嫌なんですが。どう切り抜けたものか。

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