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ああ、また来た

 この町は結構良い町だ。しかし、真君(笑)がいるせいで仕事が非常にやり辛い。仲間に引き入れる事も可能だろう。それは、気分的にも嫌なので却下だ。



 あそこまでテンプレ主人公なのだ、絶対トラブル体質、初めてみた感じからの感想ではあるが、正義感が強いのだろう。自分から厄介事に突っ込むきらいがある。



 以上を以て、この町から出て行こうと思う。物資は、食料から素材に到るまで、スーパーでも開けそうなほどの潤沢具合だ。本当奴隷狩り狩りは美味しい。



 そうそう、この町を出るのにはもう一つ理由がある。この町に来るまでの道中、RPGのモンスターが如く資金源となって散っていった、奴隷狩りに盗賊達。その中に大物がいたそうで。領主自ら俺をお探しとの事だ。



 しかも、その大物を仕留めた時は、例の刀の試し切りをしていた時らしく、その時助けた人間にそれを見ていた奴がいた訳だ。



 太陽のように輝く剣って・・・どちらかと言うと血染めの剣・・・まぁいいや。とにかくだ、このまま馬鹿正直に出て行けば、厄介事に巻き込まれるのは確実。それならボロが出る前に、この地を出て行くほうが身のためだ。



 そんな時、嫌な噂を耳にした。今この国は隣国から侵略を受けていると。新しい武器の開発がきっかけのようだ。ますます出ていった方がいいな。




 酒場から出て行こうと席から立ち上がり、勘定を済ませた。



「ダイスさん」その時聞きたくもない声がした。言うまでもない、真君だ。もう嫌になる。




 とりあえず外に出て話をする事にした。


「クーフーリンさん、この前言いましたよね? 極力近づかない、関わらないと」



「ですが、緊急事態なんです、どうしても力を貸して欲しくて」



 何言ってんのこいつ、バカなの? 



「貸すような大それた力も知恵も持ち合わせて無い。もし持っていたとして、貴様のような不愉快極まる奴には貸さない」



「この国が今、侵略にあっているのにですか?」



「たまたま、旅人が寄った国にそこまでの義理は無いし、あったとしてもそんな力は無い。そう言うのは国民のなすべき事ではないのか? それともあれか? この国は旅商人や旅人から戦時は追いはぎ、ないし戦奴隷にでもするような腐った国なのか?」



「そんな事はない」怒気を含む否定だ。



「良かった。であれば俺は問題なく旅を再開できるな。前にも言ったが、関わるな。正直目障りだ」



「敵に間違いなく、異界人がいます。証拠に敵の主力武器は火縄銃のような物を使います」



 仕組みを良く知る者であれば作れるだろう、全く余計な事をしてくれる。


「何をいっているかさっぱりわからん」



「どうしても、手伝う気も正体を明かす気も無いのですね?」



「お前が勘違いしてるだけで、おれはお前が思う何かではない。いい加減おれの迷惑を考えてくれ」



 真は槍を構えた。


「その化けの皮を剥いでやる」




「お前のしている事は奴隷狩りとなにが違う?その立派な名をくれた親が泣くぞ?」ヤバイ思い出し笑いしそう。



「僕はこの国の為に・・・」



「国の為なら、奴隷狩りは正義か・・・反吐が出るな。先に言おう。お前がやると言うのなら殺しあおう。そこに降参は無い。片方の死だ。負けが確定したのなら、おれはその時点で自死する。どちらにしろお前の思い通りにはならない」



「ダイスさん、貴方は強者だろう? 何故弱者を守らない?」



「俺は強者でないし、強者は弱者の奴隷ではない。守るのはそいつの意思でだ」



「それで、どうする? やるのか?」



「いいえ、やりません。あまりの出来事に冷静さを欠いていたようです」



「お前のそれは独善だ。しかも力があるから質が悪い。だが今回で学んだはずだ、こんな事はこれきりにしてくれ。本来であれば兵に突き出す所だが、酔っ払いに絡まれたと思い見逃そう。だが、次は無い」



「本当にすいませんでした。でも諦めません。迷惑にならないよう、僕なりに考えてまた来ます」




 そういって走り去った。本当もうこないで。


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