テンプレ展開と黒歴史
ようやく・・・着いた。小さな村にはよりはしたが、求める物は何も無かった。ここなら、そこそこ良い宿もあるだろう。
宿の前に、ギルドに顔を出す必要があるな。盗賊の討伐は言うつもりは無いが、道中の魔物の素材の買取は先に済ませたい。
幸い、ここから見えているし先に行こう。ついでに良い宿の情報も入れば、上々。
ギルドに入ると、酒場も一緒になってるせいだろう。まだ飲むには早い時間から客は多い。
そして、見る事は無いと思ってた場面に出会ってしまった。如何にもベテランで屈強そうな筋肉だるまが、美人の女冒険者に無理やり絡んでいる。
助けないのかって?、なんでそんな後々ろくでもない目に遭うのが確定の事案に、首を突っ込む必要が?そういうのはこの展開に相応しいテンプレ主人公様にお願いしてくださいよ。
俺はあくまでもモブだ。どう良く言っても主人公のパーティーの、目立たない奴が限界だ。
まぁそれでも、やばそうなら、大声で悪漢はこっちです兵士さんくらいはするかもな。おっと、そんなくだらない事を考えてるうちに主人公の登場だ。黒髪、黒目・・・少しステを確認してみよう。
大久保 真・・・・まぁ、そうだよね。マジもんのテンプレさんがそこにはいた。スキルは・・・
鑑定、がある、最近覚えた隠蔽を使っておいた方がよさそうだな。今の所同郷人は9割碌な奴がいない。できれば関わりたくない物だ。そうそう、盗賊の中にも西洋系の同界人がいたな。まぁ始末したけど。
槍の極意・・・これはまえの領主の槍バージョンか・・・あまり戦いたくはないな。
拳の極意、あとは初期特典って感じか。武闘派だね、構成が完全に脳筋。ステも思考と速度以外が満遍なく高い。筋肉だるまのステータスもみたが、結果はいうまでもないだろう。ここで俺がステをいじれば・・・三文劇が胸糞三文劇に変わるだけだから止めておこう。
案の定筋肉だるまを伸して、女性を救う三文劇を見せられた後、女性に礼を言われて、その後に名前を聞かれた。そして真君はこう答えた「俺の名はクーフーリン」
俺はとっさに、入り口から外に出て、走った。笑いを我慢できそうにないからだ。
にやけ顔で走っている俺は、さぞかし気持ち悪かっただろう。だが仕方ない、三文芝居展開からのまさかの黒歴史ぶっぱ、他は知らんが俺には完全にツボだった。
安全な距離を取り、笑い続けていると、親切?なおじさんが「大丈夫か?」心配してくれた。笑いながら、息も絶え絶えに「大丈夫です」と答えたがそれが精一杯だった。
あいつにはできるだけ近づきたくないな、笑いそうだから。結局ギルドには寄れず、適当に宿に泊まってその日を終えた。
 




