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町へ

 町に行くつもりだったが、気付けば都市といっても良いくらいに大きな町に来てしまった。



 あの村は貧しい土地であったが、他はそうではなく、緑豊かな平野で、魔物も少なく、大したのも少ない。そんな立地のお陰か、道中はのどかな麦畑と、ほぼほぼ放し飼いの羊や、牛が闊歩する光景がほとんどだ。



 俺達3人は、今までの道中との差に、安堵・・・いや、肩透かしに近い心境だろうか? 疲労困憊の限界ギリギリまで追い詰められたあの道中から、こののどかな道だったのだ仕方ないだろう。




 それより俺は喜んだ。牛がいるのだ、それならば料理の幅が広がる。実に良いことだ。



 町に入る前に門兵に止められ、通行料を払ったのだが、これが高い。銀貨3枚は取りすぎではないだろうか? 農家はフリーで入れるようだが・・・。




 町並みは、前の町をそのままでかくした、その程度の印象しかなかった。



 俺達はそこで一旦解散し、夕暮れ時にギルドで集まる事にした。




 まずは宿の確保、適当な広さの部屋を借り、そこの女将さんに、良い不動産屋はないかと訪ねると。そこそこ安くて、色々なニーズに答えてくれると人気の、ランド商会を教えてくれた。



 その歳で一軒家を借りるのかい?豪気だねぇと背中を叩かれたが、このくらいのおばちゃんだとこういう行動に出るのは、向こうもこちらも変わらないようだ。



 買出しに行きたいが、ここは我慢して、ランド商会に向う。



 周囲からすると一際大きい建物がソレであった。内装は色々な客層を意識したのか、シンプルで嫌味が無いのに、好感が持てる。



「いらっしゃいませ」受付嬢が挨拶をする。流石大手美人を使う。



「半年から一年くらいの契約で工房付きの一軒家を借りたい」



「承りました、担当の者を呼んで参りますので、少々お待ち下さい」



「お待たせしました、ワイズと申します」



 恰幅の良く人の良さそうな面構えの、中年がでてきた。



「用件は、そちらのお嬢さんに伝えた通りです」



 ワイズは数枚の羊皮紙を広げ「御要望にお応えできそうな物件は、これ等になります。一年契約ですと少し割高になるので御了承下さい」



 確かに、少し高い。だが3人で宿に泊まり続けるのに比べれば・・・少々安い。



「見る事は可能でしょうか?この3件なのですが」



「おお、これはお目が高い。一つは王宮魔術師に出世して、出て行かれた方の物件。他も良い所ばかりですな」



 鍛冶や錬金術を使う上で、便利な間取りを選んだだけなのだが・・・リップサービスというやつだろうか?



「では、御案内します。付いてきてください」



 4件目を回り終える頃には、ワイズの足は震えて、もう歩けそうになく見えるが、一切ソレを感じさせない顔である。これがプロ根性というものなのだろう。




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