表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/397

総長

 本当に、疲れた。精神的に、村長の家を出て、拠点に戻ろうとすると、小柄の少年とも青年とも言いがたい微妙な男が立っていた。息は荒く、正直近寄りたくない。



「貴方がダイスさんですか?」そういう奴に限って、絡んで来るのがこの世界。おい、自称神、なにか呪いをかけてないだろうな?悪縁の呪い的なのを。



 いえ、違いますよと言いたいのをぐっと押さえて 「そうですが何か御用でしょうか?」




「聞きましたよ、隣の国に行かれるのでしょう? ああ、申し送れました。私は、ギルド総合長のアークと申します」



 ガウの上司か、にしては若い、こいつもミルと同じ部類なのだろう。



「色々お話したかったのですが、明日出立となればあまり時間は無いでしょう。なので今回は商談の話だけをしようと思います」



 ああ、そういえば自腹で買取金額を追加した奴か・・・よほど食道楽なのだろう。



「売って欲しいのは、シロップを使った美味しい物のレシピです」



 やはりか、色々あるが・・・ここで確認するのもいいだろう。材料がどの程度手に入るか次第だしな。



「その前に、食用の卵って手に入りますか?」



「食用の卵ですか、可能ですよ。それなりに高価ですが、ランナーバードの大きな物と、従魔契約した、闘鶏の卵がそれですね」



 鶏がいるのか? いや、どうせ名前だけで違う可能性もあるな。



「では、レシピと共に調理器具とのセットでお売りする、というのは如何でしょう?」



「調理道具とは? いや、いいでしょう。値段は話を聞いてからにしますが、買い取りましょう」



「これですね」



 作っていた泡立て器を取り出して、アークに見せる。



「これは、なんに使うのでしょう?」



「これは、泡立て器、生地なんかを混ぜる時に使う」



 興味深そうにそれを手に取り、見ている。



「卵があれば、良かったのですが・・・口頭で説明するしかありませんね」



 そう言う俺を手で止め 「この村を出るのは明日の昼頃でしたよね?」



「そうですね、朝はゆっくりして、昼から出るつもりです」



「それは良かった、それでは、朝までに卵を用意します。その後でレシピを教えてください」



 今から? 町までは相当な距離があるはず。まさか、今から狩りに・・・ないよな?



「それでは、また、朝にお会いしましょう」



 物凄い速さで去っていった。まぁ、害はないだろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ