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出立前日

 この居心地が良い場所に居るのも、今日が最後になってしまった。リュートにはお前は何処でも十分通用すると、太鼓判を貰い、後は村長に挨拶に行くだけである。他の連中は既に、村長の家にいるはずだ。




 村長の家に着くと、奥さんが迎えてくれた。奥へどうぞと通された。部屋に入ると、なにか空気がおかしい、どうしたのだろうか?




「よっ色男、このこの~」意味不明なロリババアは放置しておこう。



「スロートどうしたんだ? なにか厄介ごとか?」



「いえ、厄介ごとではないのですが」



「村長、うちの者が何か御迷惑を?」どうも、歯切れが悪い。村長に聞くのが早そうだ。



「特に何もないよ、娘が寂しがって駄々捏ねているだけさ」



 ああ、随分懐いてたからな、夏休み終わり頃の従兄弟の、少年が、お兄ちゃんともっと遊びたいとか駄々捏ねて親御さんが困ってたな。懐かしい。



「悪いが君からも言ってやってくれないか?」



「はぁ、分かりました」



 件のお嬢様だが、俺を見つけたとたん、袖にしがみ付いてきた。好意受けるのは良い事だが、あと10年後であって欲しかったよ。



「少しお別れだが、また、遊びに来る。少し居ないくらいで、それじゃダメなんだぞ」



 できるだけ、声を優しく優しく、言ってるつもりだが、自信は無い。



「じゃ・・じゃあ、お願いがあります」



「俺に出来る事なら可能な限り叶えよう」



「お嫁さんにしてください」



 これもなんか懐かしい、バイト先で知らない子にパパーって風に、そして今みたいに苦々しい顔をした、親御さんがこちらを見ている、この構図。そして、この後、散々同僚に弄り倒されるまでがセットだ。



「ああ、いいとも、だけど条件がある。君が大きくなって、それでも俺を好きであったのなら、その約束を守ろう。これでいいだろう?」



「うん」そういって出て行ってしまった。



「娘を頼んだぞ、婿どの」ニヤニヤ笑いやがって、普通複雑そうな顔する所だろうが。



 子供の時の好きなんてのは、でかくなればなんでこんなのを? に変わるもんだ。今のがベストの選択のはずだ。



「いや~ダイスさんの色男ぶりは中々ですなーミルさんや」



「こいつぁー何人もたらし込んでますぜ、スロートの兄さんや」



「ダイスは子供にモテモテ・・・」



 なんかどっと疲れた。




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