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ルイと言う男?と目的

 一番気になる事を聞こう。



「これからどうするんだ?」



「私は旅をするよ。取り戻すべきものがある」



 こっちに来て、やはりいざこざがあったのだろう。もう少し聞いてみるか。


「言いたくなければいいが、何を取り戻すんだ」



「記憶だよ、こっちの神が、ある程度芽がありそうな者に、片っ端からスキルを配ったであろう、あの日、私は息子がいるという事以外の、息子に関する記憶を失った」



「覚えてないのに、忘れた日をわかるのか?」


「妄想に過ぎないかもしれないがね。件の大事件の犯人は息子だと思うのだよ。もしそうなら、魔術師として一つの境地に達した、息子を誇れば良いのか、それを行使した息子を憐れめばいいのか」



 なんでもその魔術は、世界の根幹に接続し、対象を切り落とす事で、確実に対象を消滅させるそうだ。その対象範囲はまさに森羅万象。人、物に治まらず、概念など荒唐無稽な物も消し去れる、魔術だと言う。今回消したのは、世界を渡るために必要な物であろうとの事だ。



 神をも困らせるのだから相当だ。


「それと息子さんの記憶に何の関係が?」



 この魔術、一度使えば自分以外から、自分の記憶が全て消えるそうだ。しかも使う度に、対価も重くなるとか、本当に最終手段でしか使えない魔術なのだろうな。事を成す為でも、それを知る者はいない。いても憶測程度の、この人くらいなのだろう。あれ?なにかおかしくないか?



「さっきの説明だと、息子がいる事、自体を忘れるべきでは?」



「君は中々鋭いね、説明しようかね。これだけ大成した魔術師だ。当然有名ではあるだろうし、良いにしろ悪いにしろ、事件や研究結果を残しているはずだ。でも事件であれば犯人、研究であれば研究者。消えるのはそれだけ、研究結果自体はあるし、事件の顛末なんかは残るんだ。それは術者じゃないからね」



 ん?どういう事だ? 行使した魔術師は記憶から消えるが、そいつがやらかした事は消えないって事だよな。


「続けるよ? そうすると必然的に、空白と呼ばれる矛盾ができるんだ。この魔術の特徴だね。例えば早稲田大学医学部、2年の生徒が画期的な発見をするとしよう。しかし、誰か分からない。こう言う状況が起こる。私の場合だと、息子に教えるために色々画策してきたプログラムが実際あるが。息子の名前や容姿が一切分からない」



 なんとなくだが、分かったような気がする。思考だけは高いんだから、もう少し仕事をして欲しい。



「私の話はこんな物かな。それより、お礼の話をしようか? 窮地から助けてくれたんだ。ただとは言わないよ」




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