もう少し早ければ
厄介な事になった。物の流れをみれば当然の疑いだろうが、戦闘に入るのは些か性急すぎる。とりあえず門まで急ぐとしよう。
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途中から戦闘の音が止まった。どう言う事だ? 距離的には門のはず中に入られたのならもっと戦の騒音に包まれてるはずだ。門も見えてきた、道中荒れた様子も無い。やはり門前で済んでいる様だ。
さて、顔を晒すのも嫌なのでスキルで庭木の一部を使い仮面を作成する。そいつをつけて後は出た所勝負だ。
門にたどり着くと門の上に立つ代表らしき男と門の外の男がなにやら話している。
「今すぐ門を開けよ、王の命である」
「だから少し待ってくだせぇ。そんな戦でもするような格好でそう、まるで軍隊だ。そんな方々が来たらいくら王の命令であっても主の許可無しに迎え入れるなんて無理です。しかも、確認するから待ってる様にお願いしたら魔術を放つなんていくらなんでも失礼です」
俺が来た時が丁度馬鹿がやらかしたタイミングだったわけね。
「五月蝿い、武具こそ集めてない物のこの屋敷に大量の物資を集めてる事は調べがついている。その調査だ、これでも開けぬのなら、反逆罪と見なし討伐する」
「だから少し待てというのが聞こえないのか? 今主に確認をしに人を向かわせてる最中だ、そのくらいも待てぬのか?」
門の上の男が怒気を含ませて言い終ると同時に炎が舞った。障壁のような物で遮られたが、これは本格的に戦闘になりそうだ。さて、出ましょうかね。
「おい、門の上の男、お前がここの責任者でいいのだな?」
「そうだ、それで、貴殿は何処の何方かな?」
「商人、そう言えば分かるはずだ。主から聞いて無いか? 疑わしい格好ではあるし、証拠に商品でも出してみせようか?」
「問題ない、貴殿の声は聞いた事があるからな。今思い出したよ、それで?どうすれば良い?」
「全員屋敷に向かって移動しろ。そこの馬鹿共は俺が引き受けよう」
それにしても外が五月蝿い。
「分かりました、後はお願いします」
「任された」
「お前達、屋敷へ向かうぞ、これは主の命令でもある」
門から降りると部下を引き連れ屋敷へと向かう。変わりに俺が門の上へと上り、転移と置換の魔術で移民の完了だ。
後やる事といえば、目の前の光景が理解できず攻撃を止め、立ち尽くしている哀れな目撃者の処分だ。馬鹿共が1時間でも来るのが遅いか俺が来るのが早ければ、互いに良かっただろうに、事故は数秒ずれていれば起こらなかった物もざらだ。
俺もそれでトラックの車輪に巻き込まれて死んでる訳だしな。運が悪かったと諦めて貰おう。




