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何事も無いように

 俺のプランでは倒れた女が目の前にいるはずだった。極一部を除いてそうあるべきなのだ。だが、この女は違った。歌への賞賛なのだろう立ち上がり拍手している。コレがライブであれば大成功だろう。だが、これは戦闘だ、相手を殺すべく打った一手だ。




「なんだか懐かしいわ」




 やはり似た環境で過ごした経験があるのだろう。そんな場所があるならこれからこの手は考える必要がありそうだ。まぁ良い、俺が有利なのには変わらない。長物を持った俺と素手の女、実力にかなりの

差が無い限りは仕留める事は出来るはずだ。




 走って距離を詰め剣を振るうがひらりと柳の様に避けられる。相変わらず反撃する様子が無い。ならばダガーに持ち替え回避できないようにできる限り距離を詰めて戦う、蹴りとダガーの連撃を繰り返し、何度も、何度も何度も繰り返しようやく一太刀浴びせる事ができた。完璧な一太刀だ、確実に刀身ど真ん中で肩にとは言え間違いないダメージを与えたと確信した。



 だが、現実は違った。ダメージを負ったのは俺の利き手首だった。思わずダガーから手を離しそうになるが、痛みを耐えて後ろへ下がる。当然の様に女からの反撃は無い。



「もう諦めなさい、無駄よ」



 どうなってる?俺は骨ごと断つくらいの勢いで攻撃した。だが、返ってきたのはまるでコンクリートの壁でも殴ったかのような反動だ。術式に問題は無い、解呪された形跡というか俺以外には無理なはずだ。実際俺自身、制限を受けている状態だ。考えろ、何か手立てはあるはずだ。幸い相手は攻撃してこない。





 そうして俺の結論は術を解く事だった。手首や腕へのダメージの回復もだが、単純に勝てるビジョンが全く見えない。




「ねぇ、ねぇってば、いい加減お話をしましょう?」



 悔しいが本当に敵ですらないらしい、行動で示されてしまった。完膚無きほどに。



「あの場所にいなければどうでも良かった。だがお前はあの場所を知っている、他に知れ渡るリスクだそれだけで排除する理由に足る」




「こんなに徹底した守人、いや守子ミコなのかな? は初めてだよ」




 これは、いよいよ以て年貢の納め時だろうか?打てる手は一つ。



「ダメだよ、その目はダメ。何をしようとしてるかは分からないけど、命を対価に敵を討つ様な真似は赦さない。あの子達を守るんでしょ?」




「守る? 不可能だ、俺がやってるのは延命に過ぎない。お前の様なバケモノが存在するとなるとこの延命も刹那にしか効果はなさそうだ。お前に非等何も無い。それでも俺のわがままの為に死ね」



 



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