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領主

 私は、気付けばこの世で一二を争うほど、嫌いな者に成り下がっていた。権力を振りかざし、守るべき民から搾取する。愚かな領主。



 そうならないように努力してきたわ。領民には低い税で富ませ、その分富んだ民は税率が低くても、元の収入が多いためこちらの税収は増えたはず。どちらも良い生活を送れるように。



 でも、ダイス。彼だけはそうは行かなかった。彼の知識は、多分世界を動かす力があるはず。しかもその力さえも片鱗に過ぎないと、私は確信している。



 条件を提示して、屋敷に呼び、この先を話し合うだけの所まで来ていたはずですのに。



 彼は無常にも私を強欲と切り捨てた。今思えば強欲よね。だって世界を動かす知識を1日金貨数枚でよこせなんていくらなんでも安い。



 どうやっても彼は味方にならない、そう思った私は、完全に冷静さを失っていた。よりにもよって、脅しという、己の矜持を真っ向から否定するやり方を取ってしまった。



 魔術は元々安全の為にこの部屋では、使用できない。そして彼の切り札は魔術、私は剣術。この圧倒的、優位な状況が私の愚かな選択に拍車をかける。



 挙句の果てには隷属させようなどとおぞましい事を思いついて首輪を出した。これはこの前違法奴隷を解放した時の物で、押収物。



 そして気付けば、彼は恐れていた魔術を、魔術が行使出来ないはずの、この場所で使って見せた。自慢の愛剣を砕いて。



 ようやく、この時点で全てを諦める事ができた。そして己の愚かしさにも気付いたがもう遅い。私は彼が下す裁きを待つ罪人のようなものだろう。



 あの魔術に対抗できる気がしない。



 私の視界が宙を舞った。何かに叩きつけられた。どうやら投げられたらしいわ。



 そして、なにがなんだか分からないうちに、私は隷属の首輪を付けられていたわ。



 私は何を何処で間違えたのでしょう? 今はただ後悔ばかりが私を支配している。



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