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魔王は美人

 あれよあれよと部屋に通される、魔王の待ち構える場所にしては普通だ。王族が待つ謁見の間としても豪奢は特に無く、その代わり暖かさをや自然を感じさせる作りだ。魔王は見た目は美しい女性だ、出るところが出ている訳ではないがスタイルが良い、と感じさせる。いや、多分バランスが良いのだろう。因みに鑑定先生は見事に弾かれた。



 「ただいま」と言いながらミューは魔王の肩へと飛んでいく、魔王も「お帰り」とほっとした表情で指でミューの頭を撫でる。



「そこの小僧、私を興味深そうに見てたが何かわかったか?」



 魔王はその龍の様な瞳でこちらを睨む。



「魔王と聞けばどのような恐ろしい人物かと身構えていたら、美しい女性が出てきたのでついつい見惚れてしまった。不快な思いをさせたなら謝罪する」




「心にもない事をペラペラと、この私にそんな口を聞くとはよほど・・・いや、許そう。小僧・・・そなたはどのような生き方をすればその様な祝福を得るのだ? 寵愛の域のものまであるのではないか? そこには敬意を示すとしよう」



「そいつはど~も」



「して、次はなんとも冴えないそこの男」



「私でしょうか?」



 冴えないとか言ってやるなよ。事実だが。



「ミューを保護してくれたのはお前だな、勝手に飛び出して本当に困っていたのだ。心から礼を言う」




 俺が保護したわけでないと分かるのは多分恩寵だの祝福だのそういう類の物だろう。これも良し悪しがあるな。俺の後ろにいる者がばれる、今の所はこの魔王の様に好意的に見る奴が多いが、いつ狙って来る奴が出てもおかしくない。なにか対策を考えなければ。



「保護したというより助けられたというのが正しいです。ミューに出会わなければあの国の人間と同じ状況に陥っていた事でしょう」




 ミューも入れて3人で和んでるようだが、俺は暇では無いので遠慮なく割り込む。まだ移民の件等山積みなのだ。



「悪いが、精霊の救出した後の話をしよう。俺はおっさんとミューに師が扱うギアスを使用して秘する事を誓って貰えれば後は勝手にしてくれて構わない。何故人間に精霊を攫われるヘマを起こしたかは知らんが、魔王は相当の実力者だ、二度目は早々起こらないだろう」




「救出した後の話とは随分と思いあがった話をするな。私がどれだけ苦労して攻めていると思っているのだ、それにその言い方はなにかあるな?話せ」



 魔王の目に怒りの色が灯る。



「別に大した話では無い。救出の件は俺が堂々と敵の城に入り込める立場だからだ。次に救出対象が悪用された場合の危険性を鑑みると俺が保護した方が良いのではないかという案があっただけだ」



「本当に尊大な男よなそなたは、その言い草で慰めたつもりか? 喧嘩をけしかけられたかと思うてしまいそうになったぞ。まぁ、良いもう少し詳しく話せ。そなたが城に簡単に入れるその理由からだ」



「簡単だ、あの国は異界からの勇者召喚を試み失敗した。その失敗で勇者の代わりに巻き込まれたのが俺だ。そして今現在も一応所属はあそこだ、帰ってなにがおかしい」



「腕輪が無いな、ミューに外して貰ったのか?」




「来た瞬間にこの目で見たんだ、あんな悪趣味な物つけるわけが無い。即興で作ったイミテーションと受け取った時点で掏り替えた、当然だがその時点で敵として認識している。俺の事をいつでも好きなように操れると勘違いした哀れな敵だがな」





「器用な奴だ。保護について聞こうか」



「単純な話だ。俺の領地のほうがここより遥かに安全なだけだ。知る者は契約で縛るか死以外は認めない」








 

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