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トト様

 通された部屋には男が一人。右手は手首から左手は親指以外の指が無い。それだけではない、脚に、頭に見える範囲だけでもいたる所に傷が見える。これは事故で負う傷ではなく拷問の類なのだろう。



「ショル。その人はだれだい? 見た所人族のようだけど」



 声に覇気が無い。諦めに似た何かを感じる、きっと諦めているのだろう。それでも壊れずにいるのはこの娘の存在かそれとも踏みとどまる何かがあるのか?




「このお兄さんはダイスさん。商人さね」



「ああ、工房のお客さんか。私じゃ御もてなしも出来ないがゆっくりしていってください」



「別にこの工房に用は無い。アンタから話を聞いてそれからなんだ。まずアンタが五体満足の健康体であるなら何を成す?」



「細々とやって行きますよ。見た通りこの体は私の技術を奪おうとした輩の仕業でね。今更大きな事はできない」



「次の質問だ。アンタは異界人だな?」



「そう言うダイスさんもそうなのでしょう?この世界で違和感を感じるでしょうねこの町並みは」



「アンタの技術はどの程度漏れた? もしも漏れたのであれば何処にどの程度漏れたかだ」



「ダイスさんもこの技術が欲しいのかい? 漏らしちゃいないよ、あいつらは、いやドワーフは保管するだけで基本的にその手の技術には興味ないから」



「アンタの技術程度いくらでも再現できる。こいつをみればある程度わかるだろう?」



 俺は先ほど見せた物を見せる。



「良く分かった。では何故私なんかの技術の話を?」



「そこが本題だ。正直に言おう、こんな語らいなんて省いてアンタを殺した方が俺としては手っ取り早く、安全面も高い。だが、一人既に見逃した。そいつは蒸気機構にまでたどり着いていた」




「なんだい?それは」


 沈黙を貫いていたショルも身を乗り出して聞いてくる。この辺は技術屋なのだろう。



「ショル、後で教えるよ。それよりダイスさん、それを聞いてますます私がいる理由がわからない」



「技術の停滞。俺が求めるのはそれだけだ」



「異界人からの流出の防止・・・」



「正解だ。今度こそ本題だ。アンタの体を元通りに癒そう、娘を含め知り合いの新興の国へ高待遇で居場所を準備しても良い」




「それは精霊様の為なのかい?」



「精霊や妖精の安寧を願うだけだ」



「私としては願ったり敵ったりです。ショルはどうかな?」




「アタイも構わないよ。ダイスが言う精霊にここの精霊様は含まれるのかい?」



「精霊がそれを望むのであれば、俺にとって邪悪でなければ助けよう。付き従う妖精もな」

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