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楽園への招待

 目を開けるとそこは御伽の世界が広がっていた。暖かい気温と柔らかい光、芝生の絨毯のように揃えられた草原、そこで日向ぼっこをする巨大なドラゴン、その頭には幼子が寝転び楽しそうに足をパタパタさせている。



 それを囲むように妖精や子犬?子猫?がいる。



 その先を見れば広大な花畑、反対をみれば森がある。森に暗い感じは無い。これは確かに楽園と呼ぶに相応しいだろう。



 彼が全てを賭け、人全ての裏切り者になってでもここを守りたいと言う気持ちもなんとなく分かる。



 人がここに訪れたらどうなるか?




 無論彼のように守ろうとする者も大勢いるだろう。だけどいつかは人に飲み込まれるのは間違いないだろう。



 おっと思考がそれてしまった。今はこの風景を楽しもう。




ーーーーー





 アキラは見惚れているようだ。少しばかり鼻が高い気分になる。



「アキラ、一通り住人に挨拶でもしていくか? ドラゴンなんかは男の憧れ的な側面もあるし」



「良いんですか?と言うより大丈夫なんですか?」



「ああ、白爺は温厚なドラゴンだよ。頭の上の幼女は孫みたいに猫可愛がりしてるから手を出せばどうなるか分からんがな」



「流石に子供は無理ですよ」



「お姉さんならわからんのだな?」



 ニヤニヤしながら言ってしまった。こいつとの会話は楽しい。男でこう言う話を出来るのはそれなりにいるが、ノスタルジーを感じるネタを気にすることなく話せる数少ない人物だ。



「是非是非紹介して欲しいですね」




「まずは、ここのお姫様からだな。あの精霊が俺が死んだ後は爺さんと一緒に仕切るはずだしな」



 一匹のコボルトがこっちに走ってくる、一切勢いを落とさずに。飛び込んでくるのを受け止めると抱っこしたままその場に座り込む。



「どうした?」




「どうした? じゃないでつ。帰ってこないからみんな心配してたでつよ」




「それは悪かった。これをやるから機嫌を直せって」



 焼き菓子を渡すと嬉しそうに食べる。



「ダイスさんキャラ違いません?ってかなにその生き物可愛い過ぎるんですが」



「ここは犬派にも猫派にも優しい夢の世界だからな。アキラこいつにも挨拶してやれ」



 コボルトをアキラに渡すと撫でながら挨拶をする。満面の笑みでだ。



「私はアキラ。ダイスさんの仲間です、よろしくお願いします」



「ダイスが初めて人間の友達連れて来たでつ。これは報告が必要でつ」



 するりとアキラの腕から這い出て爺さん達の方へ走っていった。友達がいないぼっち見たいな言い方で少し悲しい。ぼっちじゃないからな?




「ダイスさん、私は友達ですからね」



 半笑いである。



「その半笑い面殴りてぇ。謝るなら今だぞ?美女の紹介を取りやめる前に」



「真にすいませんでした」



 綺麗に頭を下げた。素直な男である。



「まぁいい。さて行こうか」

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