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国宝

 別に裏切られても良かったのだ。結局は目的を達成する事に変わり無い。



 魔族の国の事である。裏切るまではしなくてもチョロまかすくらいの事はやっては良さそうな物を、俺が知る魔族のイメージは完全に崩壊した。人間なんかよりよっぽど誠実だ。




 信じられない大金と物資を約束のまま渡すだけでなく。目録外の物や土地の所有権、まぁこれは俺に居ついて欲しい事なのだろうが。




 ともかくだ、ここまでされると俺としてはやりにくい。敵意や悪意に刃を向けるのはなんと言う事はない。しかし、善意や誠実さに不実を向ける事はあまり得意ではない。




 幸い鉄等より希少鉱物が取れるふざけた土地なので無理する事は無いだろう。





 数日後、残りの受け渡しに向う、これは特に貴重な物の受け渡しだ。信じがたいが、アレクサンドライトのでかさが赤子くらいあるんだ。元の世界ならいくらするか想像すら付かない。



 そして探している物の一つ龍脈の流れの中にある金、ある種の力で物質として変化を遂げ元の世界では伝説と名高いオリハルコンがこれに当たるそうな。情報元はアリアの知識である。




 どれもこれも価値をつけるのが怖い物だ。




 そんなこんなで眩暈がする思いで空間庫にしまうと王が話しかけてきた。




「この国の国宝はお気に召したかな」



「そりゃそうだろうな、国宝だよな。良かったのか?」



「この前手始めにと女神が指定した場所は既に土壌の変化が確認されている、いくら高価でもこの状況を打破できるなら構わないさ」




「疑問に思うのだが、この戦争やる意味があるのか?」




「この国にはもうないよ。食料が無いし、輸入を出来ない状況にされたからこその戦争だ。食料がどうにかなるならもう興味はないね。防衛線は引き続き必要だけど」




「人は争う理由はなんとなくわかった。ドワーフとは?」




「ドワーフとはたまに衝突はあるけど、特に相手の国に攻め込んで争う程の事じゃないよ。あんまり関わりもないし、ドワーフは人間の方に怒りは向いているだろうし」




「それは何故だ?」



 予想は出来る。




「人間は金や宝石を好むでしょ?」



「そうだな」



「でもそれを美しく作る技術は無い」



「奴隷か、しかも人攫い」



「正解」




「ここには希少な宝石で向こうは職人が目的か、本当に愚かだな。この国から宝石を持ち出すのは苦労しないだろうに」




「それはどういうことかな?」



 周りも含め雰囲気が変わる。言い方がわるいのは事実だ、仕方ない。




「仮に、仮にだ。それなりに人間と友好的な関係を築けていたと仮定しよう」



「彼の地は豊穣で食うに困らないと聞きます。そういう事ですか?」



「商人から見れば当然だろう?往復するだけで稼ぎがほぼ確実ときた。それこそ三流でも考え付く、本来なら互いの需要と供給がこれほどかみ合う隣国なんて奇跡としか言えないんだがな」




「何故こうなったのか。付き合いがあったドワーフの商人を襲ってまで邪魔をするのですから」



 これはドワーフの国にも早々に行く必要がありそうだな。過剰な料金はサービスで返すとしましょうかね。




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