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お喋りは嫌いじゃない

「まぁまぁそう警戒せずに。貴方は賽の神の使いなのでしょう?」



「まさか。俺はそんな大層なもんでもないし、なれたとしてもお断りだ」



「そうなのですか?では私と同じミコで?」



 吸血鬼の姫と同類・・・か、かなり厄介ではないかこれ?




「そう言うのをやる程信仰心なんざ持ち合わせちゃいないよ。何度も言うが商人だ」



「成るほど、商売相手が神であろうとって事ですかね?ライシュヌ様はあまり深くは分からないと仰られていましたがそれなら納得です」



「知らない神だ。なんか蓮とかコロ・・・法螺貝とか持ってそうだな」



 素性は粗方ばれていると見ていいな。これが通じるかは別だが。




「あそこまでスケールが大きい神はこの世界にはいませんよ。インドラみたいのはいるかも知れませんがね」




 いてたまるか、あんなのがいるなら何がなんでも殺す。神話の神々がロクデナシなのはテンプレだがインドラはその中でも上位だ。



「じゃあ、俺の目的は分かっているんだろ?」



「勿論文明を進める僕を殺しに。でもそこが分からない、だからこそ貴方と話がしたかった。殺し合うにしてもその後でいいでしょう?それともお急ぎで」




「時間は足らんよ。だが、幾分かまともそうな日本人に会うのは久しい。どうなるにしろ話す時間くらいは作るさ」



「一つ勘違いしないで欲しいのですが、まともな異界人がいないのではなく」



「向こうのモラルではこっちでは生き残れないだろ?あるいは賽の目が良すぎて生き残るか」



「その通りです」



「アンタは出目が良かった。違うか?」




「そうですね。その通りです、だからこそこの世界に文化と秩序をもたらしたい」



「それが困るんだ。それを甘受できるのは人だけだろう?」



「いいえ、人以外の知的生命すべてに」



「無理だな。俺はそれを信じる事は出来ない。人しかいなくてもあの体たらく、多種族がいるこの世界では考えるまでもないわな」




「貴方だって人間だ」



「ああ、そうだとも。だが守ろうと思うものは人では無いし、人は邪魔だとすら思う」




「精霊ですか?」



「自分の神にでも聞いたか?」



「いいえ、スキル名は見えてますので、残念ながらその能力までは見えませんが」



「なるほど、分かりやすい名前だしな」



「その精霊を愛しているのですか?だとするとなんか王道ゲームの魔王みたいですね。最後仲間になる奴」


 

 クスクスと笑いながら楽しげに言う。遠まわしに14歳で発祥しやすい病気だと言われた気がする。



「愛する? そういう感情は抱いてねぇな。まぁあれだこのまま放置した場合の未来を考えたら気に入らなくてね。俺の自己満足だ。所で魔王が最後に仲間になる作品なんてあったか?」



「ほら、人間に殺された嫁を生き返すと正気に戻るあれです」



「あれか、アレの役をやるには顔面の能力値が全く足らないな。それに縁が無くてね、狂える程愛せそうな女性には出会えそうにないな」






 それから数時間色々と話した。主に向こうの世界での事だ。どうやら彼は俺より10年程早くこちらにとばされた様だ。更に多趣味だったようで、オタク趣味は勿論スポーツや車やバイク、機会関連まで。オタク関連ではシリーズ次作の話やマンガの続きを。


 スポーツではスパースターの偉業を語ると目をキラキラさせんばかりに食いついてくる。日本製の最新スポーツカーの話をすると最早語彙が消失していた。




 話してた俺自身楽しかった。まるで元の世界に帰ってきた様で。








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