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御対面

「では私はお嬢様を呼びに行ってくる」



「待て待て。その前にだ、お嬢様の名前を聞かせろ。聞いちゃいねーんだ」



 少し考え込む素振りを見せ「確かにお前は一度も名前を聞いてなかったな。他の集落の者にも同様に。何か意味があるのか?」



「大した意味はねぇーよ。名前を覚えるのが苦手だからってだけさ。代わりに名乗られた名前は出来るだけ覚えるようにはしてる」



「その様には見えないがな。お嬢様の名前はリザだ。他に無ければ私は行くぞ?」




「他は無い。行ってくれ」




 走り去るリュートを見送り、俺は今までに味わった事の無い苦境にいた。無論エルフの少女が嫌いと言う訳ではない。村長の打算が見えるがそんな物は取るに足らない。何が一番厄介か。それは、純粋すぎる程の好意だ。



 もしも、当時あったままの思いでここに来ているのであれば、俺に出来るのは遅滞戦が精々。その間に幻想か夢かを覚ましてやればそれで良い。打算で来てくれる分には逆に楽なんだがな。









 世の中上手く行かないのが世の中の常。



「大きくなっても考えは変わりません」



 痛いくらい真っ直ぐに。あの時のおどおどした感じは完全に無いし、寧ろ意思の強さすら感じる程だ。




「私の故郷では成人は20歳となります。リザさんはまだ20歳ではありませんね?」



「はい、15歳です。ですが私は大人です」



 引く気は無さそうだ。


「そうでしょうね。ではしばらく一緒に生活しましょう。私に抱くものが幻想なのか、それとも真実なのか、それを見極めてからでも遅くは無いでしょう? 俺から見れば貴女はまだ幼い。だから後悔の無い選択をして欲しいのです」




「お嬢様。私もその方が良いと思います。ダイスは良き人間でしょうが、互いの事をあまりにも知らな過ぎる。それに共に過ごすのなら、お嬢様の願いも叶っております」



 ナイスアシストだリュート。




「そうですね。確かにそうです。私の思いは変わらないですが。それでも私の事を思って言ってくださるダイス様。それに、リュートが言うのであれば間違いないでしょうし」




 妙に好感度的なものが上昇した気がする。気のせいであってくれ。

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