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もう一人いた

「もう一杯だけお茶を飲ませてください。今のままでは冷静な判断はできません」



「構いませんわ。その程度でよければ待ちますとも」



 なんで、こんな時間稼ぎのような真似するかと言うと、一言で言えば違和感だ。何か引っかかる気がしていた。そう彼女が領主だと聞いてからずっとだ。だがその違和感の正体にたどり着いた。彼女は誰一人連れていないのだ。



 彼女の武勇は聞いている。しかし、誰も連れずとは考えにくい。そして試したんだ。鑑定をありとあらゆる視界に。



 それはいた、見えないけど。


 ハンス


 力352

 HP700

 防御95

 MP852

 速度70

 思考200



 鷹の目・・・遠くを見渡せる。

 同化・・・背景と同化して自身を認識させない。

 従者の嗜み・・・主人の力限定ではあるが上昇させる。

 格闘術・・・無手での戦闘スキル。



 怖ぇよ。こんな奴が横にいるとか。アサシンだろこんなの。そういう訳でお茶は方便で、護衛無しで対話とか無理だから。




 お茶を準備し、護衛を全員連れて、部屋に戻る。


「二人きりでの話し合いではないのでしょうか?」不快であると言いたげだ。



 俺は後ろに護衛を立たせると、テーブルにお茶を3つ並べた。自分の手前と領主の目の前に1つづつ。そして、彼女の横にもうひとつ。



「お客様がもう一人いたとは知らず。お茶も御だししていませんでした。申し訳ありません。二人きりとはなんの事でしょうか? ねぇハンスさん?」



 彼女が明らかに動揺を見せた。


「さて、領主様。商いをする時に最低限の必要な物がございます。それは最低限の信頼です。申し訳ありませんが領主様にそれはありません。お引取り下さい」



 彼女は「待って」と言うが俺はそれを遮ってこういった。


「俺は、ギルドに酒とパンの製法を対価に、後ろ盾を得る事をギルド長との間に決めています。いくら領主様であろうと、迂闊な事をされない方が賢明です。それとこの町はとても便利で良い町ですが、私には危険な場所のようですので。そう遠くないうちにお暇させていただきます」



「お茶を飲んでからで結構ですので、お引取り下さい」そう言ってガイだけ引き連れて部屋を出た。後の4人は彼女達が出て行くまでの監視だ。



 あとで4人にどうなったか聞いたが。横から突然初老の男性が現れ、お茶を飲んだ後。また来ます。とだけ言って出て行ったそうだ。



 頼むから二度とこないでくれ。



 




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