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名前が増えました

  少し時間が過ぎ、俺は褒章を受け取るべく会場にいるわけだが。人、人、人。あたり一面が人だらけ。

 アイドルとか歌手のコンサート会場のような有様だ。アイドルは偶像って意味だから、この国の俺への対応を見る限り、あながち間違っていない。



 いいさ、俺は名前も姿も晒している訳ではない。例の歌も全部が同一人物として歌われた訳でもないから、なんとかなると願いたい。



 ああ、そうそうこの姿の俺にも名前がついた。ハジメではなくまた新しい名前だ。なんの捻りも無い名前だがな。名前はサイ。賽である。王に商人様では問題があると言われて特に考えず答えた結果である。




 王の長い演説を流しながら周囲を見渡すが。民は皆聞き入っている、苦しい状況からの解放ってのが大きいのかねぇ。俺ならすぐにでも帰るがね。それよりあのマイク染みたアイテムの仕組みの方が気になって仕方ない。




「それでは、商人様。いいえ、サイ様から民へ言葉をお願いします」




 聞いてないぞ。流れ的にはそうなるか。俺は諦めてアイテムを受け取り話し出す。




「私等の為に集まって頂き、感謝します。私から申し上げたい事はただ一つ。確かに私はこの国の為に色々とお手伝いしました。結果は皆様の知る所でしょう。しかし、全ては守護龍様の下に行われた事。私への感謝はありがたく頂きます。でも、守護龍様のオマケ程度で良いのです。今貴方方がいるのは守護龍様のお陰なのですから。その事を努々忘れる事の無きように」




 とりあえず、あの爺さんに全部投げてしまえ。




 それから、箱に入った何かを受け取り、上空から現れた守護龍様に乗せられてその場を去る。コレは王と考えた演出だ。これ以上はしらん。








「ダイスよ、すっかり英雄じゃの。巨壁で暮らすのもありじゃと思うぞ」山に戻ると爺さんは俺にそう言う。



「冗談じゃない。金も物もある今、権力や地位なんざ、足枷以外のなんでもない。そんなもの好き好んでつける奴の気が知れないね」



「人間はそれが一番好きな種族だろうに。お主は新種なのかもしれぬな」カラカラと笑うじいさん。



「所でじいさん」




「なんだダイス」



「ここの長と守護龍を引退して次代に渡すつもりは無いか?」



「急にどうした?いや、そういう事か。結局は守護龍なのだな、わしは?」



「これは俺なりの信頼の証のようなもんだ。俺が生きている間なら返事はいつでも良い」



「あい、分かった。こっちも色々雑事や引継ぎがあるでな。少し時間を貰うぞ。返事は言うまでもない。楽しい隠居生活が送れそうじゃわい」




 

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