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なにそれ、怖い

 巨壁の国へやって来た。できる限り身を隠し王の所まで向かう。変装の道具を使用してない俺はただの一般人なので、当然騒ぎにはならない。



 城付近まで到着すると物陰に隠れて道具を使用する。その後はフードを深く被り足早に城まで向かう。警備兵に近寄るとどうやら対応した事があるのか、すぐに城の中へ通された。せめて顔の確認くらいはした方が良いと思うのだが。



「ささ、商人様こちらへ」



「少し聞きたい、何故俺が商人だと分かるのだ?」



 あちらを御覧下さいと門の中枢部分を指差す。小く歪な球体がそこにはあった。



「あちらには特定の方の魔力パターンが記憶されております。お忍びでこられる方や王等が円滑に入城頂ける様に設置されている物です。本来は人の姿でいらっしゃる、守護龍様の為の物なのですがね」



 俺の立ち位置怖いくらいに高くないか?確かにやらかした事は事実だが、ここまでの待遇は求めていない。




 俺を楽しませる為だろう。色々と説明しながら王の間へと向かう。兵士というよりこれではガイドだ。少し詰まる所もあり、これはここ数日で叩き込まれたものだと推測できる。




 王の間まで着くと俺は兵士に手を差し伸べ。



「貴殿のお陰で楽しい移動が出来た。感謝する」と握手を求めた。これはこの兵士がきちんと仕事をこなしたと他に知らしめたかったからだ。わけの分からない来客で業務を過剰にさせられているのだ。正直罪悪感から来る行動である。



「こちらこそ、商人様のお供が出来てこの先の誉れとなります。心からの感謝を」そう言って両手で手を握られた。正直俺は引いている。が、顔には出さない。




 兵は俺と王に一礼すると足早に部屋から出て行った。



「久しぶりだな。王よ、俺はどうすればいいのだ? ただ受け取るだけではないのだろう?」



「お久しぶりです、商人様。民衆の前で受け取って欲しいのです。場所は城下町の中央広場、そこで受け取って頂ければ私としても国民としてもありがたいのです」




 それで済むならそうしよう。



「あの兵もだが少しばかり俺の扱いが物々しくないか? 自分がやった事に感謝をしてくれている事は十二分にわかる。だが、あれは人に対するそれを超えだしているのではないかと思うんだ」



 王はきょとんとした顔でこう言った。



「それはそうでしょう。最早商人様は英雄、国民の間では龍の化身とまで呼ばれています。守護龍様と同等の人気ですね」




 もっと古からの盟約者の守護龍様を敬えよ、俺如きと一緒にしちゃ。あの爺さんなら笑って流しそうではあるが。こっちは利益の為と打倒の為にやっただけなんだ。

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