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そりゃいるわな

「魔笛ってモーツァルトのあの魔笛ですか?」



「その魔笛だ」



「この体になってかなり声の高さも出るようになりましたが、流石にあれは無理ですよ。それにダイスさんは男性ですよ?無論男性でも化物のような方もいらっしゃいますが、魔笛はいくらなんでもハードルが高すぎますよ」



 普通はそうだ、当然俺も同意見だ。しかし、努力をしない理由にはなり得無いし、目標を下げる理由にもなり得無い。



「ルイの息子だが、完璧に歌いこなしていたそうな。そして俺にはそれが必要だ、無論届く等とは思わないが、目標に掲げるくらいは許されるだろう?」




「そうですね。しかし、男性であの難曲を、恐ろしいですね。でも一度お会いしたいです」



「残念ながらこっちにはいない」




 いれば俺のような無能はいらない、あの土地ごと彼なら完璧に守るだろう。




「さぁもう少しで着きますよ」







 もう少しと言って半日は歩いたが彼女に取ってはもう少しなのだろう。集落はクレイドルとはガラリと印象を変え人間的な物だ。場所的にも森と平野の境目にあり、農耕もしている。これはこれでイメージとは違うものである。




「それではまずは私の家に向かいましょう。夫を紹介します」



「頼む」



 当然いるよな、これだけの美人に男がいない方がどうかしてる。落胆? してる訳ないだろ? 半殺しにされた相手だぞ? それに俺はこう・・・大きい方が。俺は何にいい訳をしているんだ。



 くだらない思考を頭から追い出す。




 そして家に着くと、昔見たファンタジー物のエルフがいた。指輪的な作品にでてくる奴だ。リュートやクレイドルの連中も美男美女だったがこいつのイケメン具合は頭一つ抜けるだろう。




「あなた、戻ったわ」



「おかえりシャラ。後ろの御仁も紹介してくれると嬉しい」



 彼女は俺の方を向き「ダイスさんあの魔術の事を話しますが構いませんね?それがある前提で私は受け入れたつもりです」




「構わない、こちらは教えを請う立場だ」




「あなた、紹介するわ。彼はダイス、彼には私が唄をあなたに武を請いに来た人間よ。困惑するでしょうが彼の魔術を見れば連れて来た理由は分かるわ」




「ダイスさん、お願いして良いでしょうか?」



「構わないが、一つ、魔力がないと破損する物はこの家にはないか?」



「ないわ」




「では」



 俺は魔術を展開する。イケメンエルフは少しバランスを崩すが、すぐに立て直し。それ以降は平然としている。俺が普通に動けるまでどれだけ苦労したと思ってるんだ、畜生。そして魔術を終わらせる。




「シャラありがとう。僕は彼と是非友人になりたい。彼は人間ながらこの集落の者達と同じ、あるいは近しい道を行こうと言うのだろう?」




「そうよ、魔術どころか恩恵すら頼らないから私達よりもある意味先を行くと思うわ」




 なんかしらんが気に入られたらしい。




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